夏の散歩

コロナ禍は、働き方に変化を及ぼしただけでなく、日常の生活習慣にも変化がみられるようです。その習慣の変化が「散歩」だというデータがあるようです。 この三木卓さんの随筆『蝶の小径』幻戯書房刊 は、以前にも紹介しましたが、たくさんの蝶や昆虫が登場…

「燕やひらりひらりと町の中」(子規) 新緑の中を吹き抜ける風に乗って飛ぶツバメの姿を、散歩中によく見かけるようになりました。 燕来る時になりぬ雁がねは 本郷思ひつつ雲隠り鳴く 大伴家持『万葉集(下)』岩波文庫 『万葉集』の中で、ツバメは身近な鳥…

陶房の風景(14)

この季節に工房に行くと、道路から入口にかけて、ヒメジョオンに覆われて通路が塞がれてしまいます。今回は、前回来た時にしっかりと草取りをしたせいか、それほど多く生えていませんでした。 この蝶は、シロチョウの仲間のスジグロシロチョウだろうか。 季…

本箱(22)

4月に「カワセミ」についての新しい本が発売されました。 『知って楽しい~カワセミの暮らし』笠原里恵著・緑書房・2023年4月10日刊 です。 著者の笠原里恵さんは、鳥類生態学や保全生態学の専門家で、河川や湖沼に生息する鳥類を対象に研究されている人で…

脇障子

黒須田川の遊歩道の桜は、強い南風に煽られても散らずに咲いています。止まっているのは、カワイヒワかな? 川面は花筏ではなく、花の絨毯になっています。 若葉の中にはカワセミ夫婦が・・葉が茂るとこんな光景も見られなくなってしまいそうです。 散歩が楽…

鳥類画

桜の開花に合わせて不安定な天気が続いています。桜の花を散らすような冷たい雨の日に東京・墨田区の「すみだ北斎美術館」に行って来ました。 美術館は、北斎の生誕の地に2016年11月に開館しました。外壁はアルミパネルで包まれたモダンな建物です。メタリッ…

ふらんど

今年の春は、例年より早いようです。黒須田川の景色も、だんだんと明るい色が増え始めました。モクレン、コブシ、ユキヤナギ、レンギョウ、ハナモモ、菜の花・・ その中でも「花」には「鳥」がよく似合います。黒須田川の遊歩道で見かける「鳥」と「花」の景…

ひな祭り

今日は「ひな祭り」です。 黒須田川の桃の木もやっとほころび始めました。お花屋さんで売られている桃の花は、この日に合わせて「ムロ」などで調整して咲かせているそうです。自生の桃の花が満開になるには、3月末から4月になるのでしょう。 散歩中、出逢…

出逢う愉しみ

やっと春の兆しが訪れそうです。春は、いろいろなものが芽生え、活動を始め、出逢いも多くなりそうです 先日、2つの美術館に行って来ました。一つは東京・丸の内のKITTEビルの中にあるインタメディアテク(IMT)美術館です。この美術館は、旧東京中央郵…

鳥の混群

先日、今年初の積雪がありました。午前から降り出し夕方前に霰となり、最後は冷たい雨。芝生は雪化粧されましたが、予想された積雪量にはなりませんでした。 黒須田川の鳥たちも降雪と共に動きも緩慢になり、囀る声も弱々しく悲しげに聞こえます。雪は周りの…

この鳥は黒須田川に、よく飛来する「イソシギ(磯鴫)」です。 シギの種類は多く、日本では50種以上が棲息しています。「イソシギ」は留鳥なので年中見ることができます。 「イソシギ」は「クサシギ」とよく似ているので間違うそうです。イソシギは、お腹の…

だるま市

新たな1年がスタートしましたが、この1月は、入学試験もあり、合格祈願のために寺社へ参拝する人が増えるのではないでしょうか。 また祈願内容を入れたり、福を呼ぶ祝い事の贈り物でもある「だるま」も広く利用されています。 関東の「だるま市」では、高…

卯・兎・うさぎ

今年は卯年。うさぎに関連するイベントや展覧会が、いろいろな場所で開催されています。うさぎと人との関係は、愛玩用、そして狩猟の対象として古くから深い繋がりがあります。そして文学や美術にも表現され、人々の暮らしを彩って来ました。 先日、東京の三…

お正月あそび

松の内が明ける前に「武州柿生七福神」を参拝して来ました。「七福神めぐり」は、今年で19年連続になります。 5度目の参詣になる「武州柿生七福神」は、川崎市麻生区細山を源流とする五反田川の周辺にあります。お寺の景色は変わりませんが、その周辺の木々…

癸卯元旦

明けまして おめでとうございます 元旦 午前9時23分の黒須田川(ゆきやなぎ橋から) わか水やわらが浮ても福といふ 一茶『文政句帖』 名代のわか水浴る烏かな 一茶『八番日記』 明日から冬型の気圧配置が強まり、寒気の影響を受けそうです。今年の寒の入…

大晦日

今年もコロナ禍は続き、行動制限のない第8波の中で1年が終わりそうです。 今日、武州琴平神社に行って茅の輪(年越の祓い)を潜って来ました。 この武州琴平神社は、川崎市麻生区王禅寺にあります。 昔、この周辺は王禅寺村と言われ230年ほど前に、この村…

カワセミのいる景色

先日、古書街の路地に山積みにされている本の中に『風景の発見』内田芳明・朝日新聞社・2001年5月刊 という本に出合いました。タイトルに惹かれて買いました。 内容は「風景」「景色」「景観」の言葉のニュアンスの違いから説明され、日本人が絵画や文学の中…

蜂雀

菊株の湯気を漂ふ羽虫かな この句は、宮沢賢治の俳句です(石寒太著『宮沢賢治の全俳句』より) 霜が解けて、その湯気の中に小さな虫が飛び立った。冬の朝によく見かける光景で、厳しい寒さの中に小さな生命の躍動を感じさせてくれます。 大雪も過ぎ、冷え込…

句碑散歩(19)

11月19日は、小林一茶の命日でした。 この日に群馬県高崎市にある一茶の文学碑(句碑)を訪ねました。 自宅から約3時間でJR高崎線の新町駅に到着。 新町駅は、旧中山道の「新町宿」に入ります。「新町宿」は、中山道の一番最後に出来た宿場で日本橋(江戸…

小雪

今日、11月22日から「立冬」から「小雪」へと変わります。 黒須田川の木々の葉が落ち、日ごとに冷え込みが増え、冬の気配が漂っています。 先日の雨の日、遊歩道を散歩中に川辺から「キッキッキッ」と雨音をかき消すような激しい鳴き声が聞こえて来ました。 …

沼辺の晩秋

千葉県我孫子市で開催されている「ジャンバードフェスティバル2022」に行って来ました。このフェスティバルは、2001年から毎年11月に我孫子市手賀沼周辺で「人と鳥の共存」を主なテーマにして開催されています。鳥好きだけでなく、誰しもが楽しめるイベント…

本箱(21)

10月27日から「読書週間」が始まりました。今年の標語は「この1冊に、ありがとう」に決まったようです。 今年は、恒例の「神田古本まつり」が3年ぶりに開催され、先日、行って来ました。相変わらず古書には人気があり、お目当ての本を探す人の熱気で溢れて…

コスモス

空たかくコスモスゆれる花原を ほそほそと行き来る道がある (ラジオ深夜便・誕生日の花と短歌365日)より この短歌は歌人・鳥海昭子さんが詠まれたものです。 鳥海昭子さん(1929-2005)は、児童養護施設に勤務した経験の随筆など書かれており、1992年東京都…

秋の虫たち

新型コロナの発生から工房に行く機会が少なくなりました。先日も1ケ月ぶりに工房に行きました。紅葉には少し時期が早かったようです。 私を待っていたのは、工房の入口の板壁にしがみ付いた「アオマツムシ(雌)」でした。 松虫や素湯もちんちんちろりんと …

昨今、新聞やネットで「昆虫食」が話題となっています。自販機でも販売され全国に広がっているそうです。 昆虫食と言えば、直ぐに「イナゴ」の佃煮が浮かんで来ます。田舎育ちの私も小さい時は、田圃の稲穂が実り、刈り始める頃には、よく「イナゴ獲り」をし…

色鳥

黒須田川は、秋の色の装いが始まりました。川面から吹き上げる涼風が、キンモクセイの甘くふくよかな香りを運んでくれます。 川面には、ソメイヨシノの葉っぱが描くオブジェ。 遊歩道には、黄金色の銀杏の実で飾り始めました。しかし踏まれて発する強烈な匂…

ペアリング

先日、東京・お茶の水のECOM駿河台で開かれている「野鳥写真展」を観に行きました。何十年ぶりに来たJR御茶ノ水駅に降りて、多くの高層ビルが立ち並んでいるのに驚きました。ニコライ堂もビルの中に埋もれていました。 お茶の水周辺は、多くの大学や専…

カワセミ春夏秋冬(10)

黒須田川の水面を、気持ち良さそうに滑空するハシボソカラス。 川岸では子育ての最中です。親と子供の身体の大きさがほとんど変わりません。子供が親に餌を与えているように見えます。この様子から、こんな諺が生れました。「カラスに反哺の考あり」と・・実…

青鷺火

夏の青空には「サルスベリ」の花が似合います。 私の散歩する黒須田川の遊歩道には、サルスベリの木は1本もありません。時々飛来する赤蜻蛉(ナツアカネ)が彩ってくれます。 今年は記録的な猛暑日が続きました。行動制限がなく「涼」を求めて、帰省や海水…

飛ばない鳥

先日、図書館の帰りに、日本では野毛山動物園にしかいない「飛ばない鳥・カグー」を見に行きました。園内は、夏休み中なので子ども連れの家族で賑わっていました。「カグー」は、鳥図鑑などで知っていたのですが、見るのは初めてです。 この動物園には、子供…