花と鳥

 不順な天候が続きましたが、30日、東京に待ちに待った桜の開花発表がありました。

 私の家の近くの黒須田川の遊歩道の桜ソメイヨシノも、蕾が膨らみ始めていました。30日には、2~3輪、5~6輪咲いている木を見つけました。

 花咲や自慢をききにくるすずめ
        一茶『発句鈔追加』

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 黒須田川の周辺には、桜の木のほかに、いろいろな草木があります。厳しい寒さを越えて、最初に咲く蝋梅、そして花桃寒椿山茶花雪柳菜の花諸葛菜連翹などなど・・川べりと遊歩道には、春の花々の芽吹きが始まり、彩り豊かな景色が生れます。古来から「花と鳥」は、様々に組み合わせて詩歌で詠んだり、工芸や絵画に表現してきました。

 黒須田川の周辺で見られる身近な草木の花々の中の鳥たちの景色を撮って見ました。

 昨年から棲み付いたバン。足には水掻きがないので浅瀬を歩いていますが、人影を見ると、直ぐに葦の茂みに逃げ込みます。

 この場所には、いつも雌のカワセミが止まっているのですが、この日は雄でした。よく見ると水際の草の中に雌がいました。

 ジョビタキ(雄)も花の蜜を吸うようです。

 カワセミは「花より団子」。コサギの脚でかき回して動き出して来る小魚を狙っています。

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 一茶に短い紀行文『花見の記』があります。文化5年(1808年)3月20日に、上野から浅草界隈を散策した時の様子を描いた自筆の紀行文です。

『文化句帖』には、3月20日「山下五番阿弥陀参 上野角田川隋斎の花見今日也」と記しています。この年は千百年お供養があったようです。最初の句が「煤くさき笠も桜の降日哉」です。この日は、桜はもう散りはじめていたのでしょう。その後、上野公園にも訪れて清水観音堂の糸桜は、青葉となっているとも記しています。

 一茶が訪れた上野公園も開花し始め、これから多くの花見客で賑わうのでしょう。

 鳥と共に人間くぐる桜哉

        一茶『花供養』

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 今日の夕方の散歩で、カワセミがチィ・チィと鳴きながら川面を往復するのを見かけました。最初は天敵から逃げているのかと思いましたが、何かを探しているようにも見えました。

 薄暮となった橋の下で、こんな景色を見ました。

 雄が雌に餌を与える「求愛給餌」行動です。この求愛行動を雌が受けると結婚し繁殖期に入ります。

 

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 余談になりますが、一茶の恋愛について書かれた文章は、あまり見かけません。『文化句帖』の文化元年7月7日に「我星は上総の空をうろつくか」という句があります。千葉・富津の女流俳人との恋愛感情を詠んだのではないかといわれますが・・

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