カワセミ春夏秋冬(10)

 黒須田川の水面を、気持ち良さそうに滑空するハシボソカラス。

 川岸では子育ての最中です。親と子供の身体の大きさがほとんど変わりません。子供が親に餌を与えているように見えます。この様子から、こんな諺が生れました。「カラスに反哺の考あり」と・・実際の野鳥には、こういうことはないそうです。

 子烏のうろうろととをかかあかな

        一茶『七番日記』  

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 私たちの身近にいる、首に青と薄い水色の縞模様のある、とてもオシャレな鳥キジバト。このキジバトには、他の鳥と違う子育ての習性があるようです。

 日本野鳥の会の安西英明さんによるとキジバトは種をかまずに飲み込んで消化し、消化器官内壁の脂肪やたんぱく質を含んだ細胞を剥離させて、脂肪分30%以上と言われるミルク状の液体にして雛に与える」そうで、自家製のピジョンミルクで子育てをするそうです。そのためにキジバトが秋冬でも繁殖できるのは動物性たんぱく質なしでも子育てができる」のだそうです。『スズメの少子化、カラスのいじめ~身近な鳥の不思議な世界~』より

 キジバトの巣は、祖荒ですが、餌は神経が細やかな鳥なんですね。

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 黒須田川のカワセミの半年間の様子についてまとめて見ました。

 2月下旬、カワセミ夫婦は、いつもの木の枝に止まっていました。まだ抱卵の気配はないようです。

 しかし3月に入ると、いつの間にか、この夫婦の姿が見られなくなりました。

 私は散歩の範囲を伸ばしましたが、カワセミの姿は確認できませんでした。抱卵体制に入ったのでしょうか。

 カワセミの姿を見つけたのは、桜の花が咲く4月の中頃でした。

 この場所は、私の散歩道よりかなり下流で、この付近に巣穴があるのだろう。遠くから見つけたので、親か子供かは判別できませんでした。

 カワセミの親(成鳥)と子供(幼鳥)の見分け方は、足の色と胸の色で見分けます。写真の左が親で、足の色が鮮やかな赤橙色をしています。右が子供で足の色が、やや黒味がかっています。そして子供の胸の毛色も、やや黒味がかっています。

 背中の色は早い時期にコバルトブルーになりますので、足が見えない後ろ姿だけでは、親か子かを見分けるのは難しいです。

 6月に入り、枯れ草に止まり、餌を漁るカワセミを見つけました。

 足の色は黒味が薄れていましたが、今年、最初に見つけた幼鳥でした。

 その後、親子にも出遭いました。左が親で、右が子供だろうか。親の後について、いろいろと学んでいるようです。

 7月になると、単独で行動する幼鳥を見かけるようになりました。川の中の石や枯れ木に止まっていることが多く、遠くからでもよく目立ちます。

 周りをあまり警戒しません。

 餌を狙っているようですが、高い場所から飛び込むのは自信がないのかな?

 餌が獲れず、親に助けを求めている・・

 でも丸い黒い眼が愛くるしい・・

 カワセミは、孵った順で多少の成長の違いがあるようです。足の色についても多少の違いがり、2羽いるようです。

 親から学んだ成果を出します。まず水面に近い石から獲物を狙います。

 獲った獲物は・・

 アレレ・これは木屑のようですが・・

 何度も飛び込みます。

 「獲ったぞ・・」

 これで独り立ちができそうです。

 高い場所からも狙ったり、大きな獲物も取れるようになるだろう。

 9月に入り散歩中に、捕獲したり、飛ぶ姿を多く見かけるようになりました。この場所を新たな自分のテリトリーとして確保したのだろうか。

 葉の音にも心おくかよ巣立鳥
         一茶『七番日記』

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 8月上旬、散歩中にこんな変な色をした塊を見つけました。

 最初は、なんとなく鳥のようにも見え、翅が生え揃わないボサボサした子供のカワセミかと思いました。よく見ると足の色が美しい赤橙色です。親のカワセミ(雌)で、毛繕いをしていたのです。

 親鳥は子育てのために、日に何回も餌を獲り巣穴に運びます。巣穴の出入りですり減ったり、翅が抜けたりします。

  雛を育てるために、親はこんな状態になって子育てをするのです。

 早く美しいコバルトブルーの色が蘇って、散歩する人に見せて欲しいです。
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