2015-04-01から1ヶ月間の記事一覧

茶盌の美しさ

「古美術読本〜陶磁〜」(知恵の森文庫)の中で谷川徹三は、茶盌の美しさ、魅力として3つの条件を書いています。その1つは茶盌の形の美しさ、2つ目は茶盌は使用によって美しくなる、3つ目は茶室で使われて美しさを発揮するという。 「・・・実際に手にとっ…

酒盃(10)朝鮮唐津盃

もう飲むまいカタミの酒盃を撫でている ( 山頭火 ) 口径5.0cm・高さ5.6cm・重さ50g

縄文半筒茶盌

縄文を施文する方法に縄を直接回転し押捺する方法と木や竹の軸棒に縄を巻きつけて回転施文する方法があります。この茶盌は前者の方法で施文しました。使用した撚り方は「合撚り(あいより)」という方法です。 「合撚りとは撚り方向が異なる二本の縄の撚り合わ…

酒盃(9)釉裏紅花文盃

盃の流るるはなの絶間かな ( 松岡青蘿 ) (『青蘿発句集』) (注)松岡青蘿まつおかせいら(1740〜1791)は江戸生まれの俳人

酒盃(8)黒花盃

鉄絵は酸化鉄を含む絵具で描かれるので錆絵とも呼ばれます。中国では錆絵のことを「黒花」と呼ぶことがあります。ここでいう花とは模様という意味で、鉄絵が黒く発色することから黒花といいます。 酸化鉄を含む材料は、黄土、鬼板、黒浜、そして弁柄などがあ…

面取赤茶盌

口径10.0cm・高さ8.1cm・高台径4.1cm・重さ200g

酒盃(7)辰砂盃

辰砂は、古来「丹(に)」と呼ばれていました。中国の辰州(現在の湖南省近辺)で多く産出したことから「辰砂」と呼ばれるようになりました。古くは吉野川上流や伊勢国丹生(現在の三重県多気町)などが特産地として知られていました。 陶芸では銅を含んだ釉…

酒盃(6)皮鯨盃

お酒の愛好家の間では、酒器は「備前の徳利」と「唐津のぐい飲み」が、垂涎の取り合わせだと言われています。皮鯨は口縁に黒い縁取りをあしらった唐津焼の装飾のひとつです。 「酒仙の歌人」とも言われ、酒をこよなく愛した若山牧水が親しい友と飲んだ時に詠…

酒盃(5)鼠志野盃

俳句の世界では、季節によって酒の飲み方が違っています。夏は「冷や酒」、秋になると「温め酒」となります。陰暦の9月9日の重陽の日から酒を温めて飲むと病気にかからないと言い伝えられています。そして冬になると「熱燗」になります。

酒盃(4)鉄絵平盃

加藤唐九郎は「さかずき」という文字が、51文字あることを書いていますが、その中で「觴」を使った句がありました。 觴に受けて芽出たし初日影 ( 井上井月 ) (『井月句集』岩波文庫) 「觴」は、音読みでは「しょう」訓読みで「さかずき」と読みます。 …

酒盃(3)鉄絵盃

ある本によると、日本酒の種類によって酒器を合わせると良いそうです。 例えば、薫酒(大吟醸、吟醸系)は、口が広く上に広がったラッパ型が良く、爽酒(普通酒、本醸造)は飲み切りの小さなサイズの器、熟酒(古酒、長期熟成酒)には、重厚感のある美しい色…

酒盃(2)蠟抜き面取盃

お酒の歴史と酒器の歴史は寄り添うように発展して来たのでしょう。最初の酒の器は貝や木の実の殻・皮などであったろう。そして「かわらけ」と呼ばれる土器、須恵器、漆を塗った木杯、陶磁器へと発展して来ます。 鉄分の多い土を使い、鉄赤釉の上に蠟抜きをし…

酒盃(1)面取白盃

お酒を飲む器として、「盃」より「ぐい飲み」という言葉の方が馴染みが深いのではないでしょうか。 「盃」は「皿にあらず」とも読めますが、皿状の浅鉢から発展しました。「盃」は主に神事などで使用される印象を強く感じます。「ぐい呑み」は盌、猪口から発…

窯から離れたくなかった茶盌

2015年3月、200年の伝統のある登り窯で焼成しましたが、窯神か、焔の悪戯か、窯から離れられなくなってしまいました。 茶碗の欠けたのが気になってゐる朝である ( 尾崎放哉 ) 茶碗がわれた波の音 ( 種田山頭火 )

貝殻文皿鉢

特に目新しい方法ではありませんが、目土に使用する蜆の貝殻で模様を描いてみました。蜆の内側の色が美しく出ました。 径23.3cm・高さ4.6cm・高台径10.8cm・重さ800g

蠟抜き織部角皿

縦20.0cm・横23.7cm・重さ720g