陶房の風景(16)

 24年間焼き物作りをしていた陶房を引き払うことに決め、先日、窯を売却しました。

 長年の相棒であった窯とのお別れです。

 新緑の中に吊り上がった重さ400㎏の窯。

 昼夜を共にしただけに少し寂しい気持ちです。

 この日は、陶房の庭の山桜は見頃でした。澄んだ紺碧の空に、新緑のモミジとの対比が大変に美しいです。

 木々の茂みからはウグイスが・・3月末に聞いた時の囀りは、まだどこかぎこちなかったのですが、今は美しい囀りが聞こえてきます。

 お別れに来てくれたのか・・メジロ

 いつもの水飲み場には、シメが・・チィチィチと寂しげな細い声で啼いています。

 警戒心の強いアオジ。陶房の庭で見るのは初めてです。「ピッチョチョピッ チョチョピー」と歌うような鳴き声は、聞くことが出来ず残念です。

 陶房の傍には、7年前に伐採した太いトチノ木の一部が残っています。

 3年前にも、この木に巣を作ったコゲラを紹介しましたが、今回も前の巣の近くに作っていました。

 山桜の枝で「ギィーギィー」と啼き声が激しいです。警戒して巣の周りを飛び回っていました。

 親は天敵から雛を護るために見張りを怠りません。

 親を呼ぶお腹が空いた幼鳥。

 親はまず巣の近くの枝に止まり、周りを確認してから餌を与えます。

 そろそろ巣立つのだろうか。

 其夜から雨に逢いけり巣立鳥

         一茶『文化句帖』

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