2015-01-01から1年間の記事一覧

陶仏(2)

家の近くの丘陵には、季節を忘れたかのように白い躑躅が一輪。 おもひ出していふ事なかれ年わすれ ( 暁台 ) (暁台句集)

10年目の瓢箪

蔓ながら瓢を叩く童かな ( 蘭更 ) (半化坊発句集) 志賀直哉の短編小説に『清兵衛と瓢箪』があります。 瓢箪が堪らなく好きな清兵衛という少年と、それを苦々しく思う父や教員との対立が描かれています。 私は瓢箪の形が好きで、これまでに、たくさん制作…

陶房の風景(12)

花の時は気づかざりしが老母草の實 ( 召波 ) (春泥発句集) オモトは古くから観葉植物として栽培されており、老母草(オモト)は、万年青の別称です。 江戸時代には老母草と書いたようです。それは老婆(葉)が子供(赤い実)を抱いているように見えたか…

陶房の風景(11)

今年は暖冬と言われています。 しかし、昨夜はマイナス5.1度まで冷え込み、庭には霜の花が咲きました。 叶へばぞ陽につぼめる霜の花 ( 鬼貫 ) (俳諧集『七車』) 高さ:23.6cm

一輪挿(13)

戸口より人影さしぬ秋の暮 ( 青蘿 ) (『栗本青蘿発句集』)

備前の土

先日、備前焼の作品展を見ました。精緻な細工物の中で、極くありふれた長方皿に惹きつけられました。 土の「いのち」のようなものを強く感じ・・・以前に読んだ『世界でいちばん美しい物語』(筑摩書房1998年刊)という本を思い出しました。数人の科学者が宇…

陶の玉

古民芸、骨董品などの「ふるもの市」は、各地で開かれています。 12月と1月の15日・16日は世田谷の「ボロ市」が開かれます。 こんな物を見つけました。穴の開いた素焼きの丸い玉です。大きさは5cm位です。 店主によると燃料を節約するために火鉢や…

陶行燈

あんどんをけしてひつ込むよ寒哉 ( 正秀 ) (『蕉門名家句選・下』岩波文庫) (注)水田正秀(1657-1723)は、江戸時代中期の俳人。近江蕉門の一人。 行燈を消せば鼠のとし忘 ( 丈草 ) (『丈草発句集』)

陶房の風景(10)

このテストピースは基本釉(透明釉)を決めるために作ったものです。 市販されている釉薬は多くありますが、基本になるのは透明釉です。 私の基本釉は長石と土灰の割合を調合して1250℃で酸化焼成しました。 現在、使用している基本釉は、長石90%と土灰1…

陶房の風景(9)

この本は奥田誠一箸「陶器大学」(昭和24年3月刊・座右寶刊行會版 )です。 発行されて60年以上にもなり、痛みが激しいです。 本焼きで温度管理をしながら、窯の傍でよく読んだ本の1冊です。 内容は「茶碗の話」というように入門書風になっており、陶磁器…

陶房の風景(8)

高台を削る時に湿台(シッタ)を使います。多くの人は素焼きのシッタを使うようですが、私は水道の配管などに使われている塩ビ管(硬質塩化ビニル管継手)を使っています。太さ、長さなど種類も多く、小さな作品を制作する時には便利です。また面取りしたも…

陶房の風景(7)

今年も陶房の軒下に巣作りが始まりました。蜂たちのいない間に、こっそりいただきました。 六尺の人追ふ蜂の心かな ( 蘭更 ) (『半化坊発句集』) 口径:15.5・高さ:7.1・高台径:5.0cm・重さ:270g

陶房の風景(6)

庭には大きな紅葉の木が2本あります。 時には駅から歩いて、この紅葉が見えると、自然に歩幅が大きくなります。 是を仰ぎつ登り来し是の紅葉や (井泉水) (『自選句集 金砂子』目黒書店・昭和21年9月刊)

陶房の風景(5)

毎年、暖かくなると、音もなく陶房に訪れて形跡だけ残していなくなります。 はね釣瓶蛇の行衛や杜若 ( 丈草 ) (『丈草発句集』)

陶房の風景(4)

窯の中のゼーゲルコーン(高温測定用具)です。今、1000℃付近かな。 周囲は暖かくなり、この時期(冬場)は暖炉になってくれます。 火桶抱て艸の戸に入るあるじ哉 ( 几董 ) (『井華集』) 72回目の本焼きの溶倒ゼーゲルコーンです。 いつも本焼きには、上…

陶房の風景(3)

我の大事な相棒(窯:灯油窯)です。付き合って、もう15年にもなります。 本焼き・素焼き合わせて150回以上焼成。大きな故障もなく、また温度管理も楽な窯です。 重さは450kgあります。東日本大震災では50cmほど動きましたが、今も活躍してくれて…

陶房の風景(2)

我が窯場の紅葉は真っ盛り。屋根には団栗と欅の葉がいっぱい。 ひらひらと木の葉うごきて秋ぞ立つ ( 鬼貫 ) 盌に、ひと葉が散って「木の葉天目」が生まれたのでしょう。

陶房の風景(1)

太陽の下で何を語り合っているのだろう・・壷たちは・・・ 陶工手に手に雨かかり来る壷を抱く ( 内島北朗 ) ( 『陶房』昭和17年3月刊・桑名文星堂 )

茶壺

茶壷は茶を葉茶のまま保存・運搬するための容器です。また茶入れにあたる抹茶を入れる容器も茶壺の名で呼ばれます。 11月は、茶人の正月とも言われる「口切の茶事」が行われ、茶壺の封を切って、当年、初の濃茶を点てます。 江戸時代には、宇治から将軍に…

瓢花入(3)

石を枕に雲のゆくへを ( 山頭火 ) (『定本種田山頭火句集』昭和46年10月刊・彌生書房)

瓢花入(2)

時雨るゝや黒木つむ屋の窓あかり ( 凡兆 ) (『猿蓑集』)

瓢花入(1)

たましひの入れものひとつたねふくべ ( 蓼太 ) (『続俳家奇人談』岩波文庫) 高さ:21.1cm

蕪形三耳壷

手のちからそゆる根はなし蕪引き ( 千代尼 ) (『千代尼句集』) 蕪汁や霜のふりはも今朝は又 ( 其角 ) (『五元集』) 高さ:14.7cm

瓢瓶(5)焼締

酒好きの余の望みなきふくべかな ( 嘯山 ) (『葎亭句集』) (注)三宅嘯山(1718-1801)は、江戸中期の俳人、漢詩人。葎亭は別号。 高さ:15.5cm

瓢瓶(4)辰砂

花や葉に耻かしいほど長瓢 ( 千代尼 ) (『千代尼句集』) 高さ:23.3cm

瓢瓶(3)朝鮮唐津

吾ふくべ種なるまでに秋を見し ( 成美 ) (『成美家集』) 高さ:18.7cm

瓢瓶(2)焼締

人の世に尻を居へたるふくべ哉 ( 蕪村 ) (『蕪村俳句集』岩波文庫) 高さ:18.2cm

瓢瓶(1)焼締

ひとりはえてひとつなりたる瓢かな ( 几董 ) (『井華集』) 高さ:21.6cm

四方壷

高灯籠しばらくあつて嶺の月 ( 北枝 ) (『卯辰集 巻第三』) 高さ:29.6cm

一輪挿(12)刷毛目

最近は古書の愛好家も多く、古書市もいろいろな所で開かれています。 私も古書市によく出かけます。乱雑に積まれた中に、薄い緑色で装丁された函付きの本が気になりました。その本は「雑草」というタイトルでした。「雑草」(ノーベル書房・昭和51年11月刊)…