新型コロナの発生から工房に行く機会が少なくなりました。先日も1ケ月ぶりに工房に行きました。紅葉には少し時期が早かったようです。
私を待っていたのは、工房の入口の板壁にしがみ付いた「アオマツムシ(雌)」でした。
松虫や素湯もちんちんちろりんと
一茶『文政句帖』
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今年は工房の垣根の周りの草刈りは、一度も行わなかったので、雑草で荒れ放題になっていました。
今回、一気に電動草刈り機で草刈りをしました。刈り始めると、今までいい声で鳴いていたカネタタキやコオロギなどの虫たちが一斉に逃げ出しました。住む場所から追われた小さい虫たちが枯葉の下に逃げる速さ・・撮るのに苦労しました。
コウロギのころころ髭を自慢哉
一茶『七番日記』
雑草の中には、名前を知らない多くの虫たちが生活をしています。人には邪魔で嫌な雑草ですが、虫たちにとっては大切な生きる場所でもあります。
肩先に泊てきつちきつち哉
一茶『七番日記』
ばらばらと脛に飛びつく螽哉
一茶『西紀書込』
突然に草を刈られたので、捕まえたばかりのショウリョウバッタを逃がしてしまったナガコガネクモ。こんな低い草の中にも糸を張っていたとは・・
蜘の子はみなちりぢりの身すぎ哉
一茶『文政句帖』
蟷螂がゆさゆさ罷出候
一茶『七番日記』
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庭で唯一の赤い実をつけている「ガマズミ」に、沢山の「虫こぶ」が付いていました。
「虫こぶ」とは、虫たちの刺激によって植物の葉や実の一部が縮小したり肥大したりして異常な形になったものを言います。
この虫こぶを作ったのは「ガマズミミケフシタマバエ」で、ガマズミの正常の実の3~4倍の大きさになっていました。この実が落ちた後も、この中で卵は越冬し、春には羽化して成虫になります。
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草刈りが終える頃には、美しい夕焼け空が待っていました。工房の庭から眺める、この夕焼け空は、草刈りの疲れを癒してくれます。
あはう草うかうか伸な秋が立
一茶『七番日記』
刈られて短くなった草株で、新しい棲家を見つけたのかカネタタキの鳴く声が聞こえます。遠くの林からは、夏を惜しんで鳴くヒグラシの声が聴こえて来たようだが・・
秋の蝉つくづく寒し寒しとな
一茶『七番日記』
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