先日、古書街の路地に山積みにされている本の中に『風景の発見』内田芳明・朝日新聞社・2001年5月刊 という本に出合いました。タイトルに惹かれて買いました。
内容は「風景」「景色」「景観」の言葉のニュアンスの違いから説明され、日本人が絵画や文学の中に、いかにして「風景」を見出していったかを、いろいろな作品を引用しながら分かりやすく説明されています。
私たちが日常よく使う「風景」と「景色」とい言葉。意味は同じだそうですが、その使い分けは少し違うように思います。「風景」は、広い範囲の眺めが対象で汎用性が高い言葉で、「景色」は、鑑賞の対象のどの部分に重きを置くかという主観的な要素が強く、自然の眺めなどに使われているように思います。
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私たちは、森や河川、公園、並木道、家並みなどいろいろなものに囲まれて生活をしています。これらは景色の対象となります。私が好きな身近な景色は、毎日の散歩で眺める黒須田川です。この川は、どこでも見られる極ありふれた小さな川で、話題になるほどの特徴がある訳ではありません。
しかし近年の宅地開発がされる前は、周囲の谷戸から豊かな湧水を集めて流域の田畑を潤していました。別名「歌川」という綺麗な名前で呼ばれていたようで、その眺めは「歌川渓谷」といわれ、春や秋の景色は素晴らしかったと言われます。現在、上流付近は人工的な真っすぐな川ですが、下流に行くと地形に合わせて紆余曲折して、昔の美しかった川の流れを感じさせてくれます。
古い地図には「歌川」という地名がありますが、今は橋の名前として残っています。
この地図は『大正6年陸地測量部・「荏田」の地形図』から引用しました。四角の所に「歌川橋」(平成9年10月竣功)が架けられています。
黒須田川の遊歩道から眺めた一年間の景色をまとめて見ました。特にカワセミに拘って撮った景色です。遠景なのでカワセミを見つけるのは難しいですが、木々に隠れたり、餌をくわえて飛んでいたり、ふくら鳥になったり、鋭い眼で餌を狙ったりしています。
1月6日
2月6日
3月9日
4月2日
5月6日
6月12日
7月10日
8月2日
9月8日
10月2日
11月4日
12月13日
撮影中にファイダーの中に飛び込んできたカワセミもいます。撮った後からカワセミがいるのに気づいて驚いたりすることもありました。
ごく普通の川にカワセミが四季を通して飛来するのは、綺麗な水と豊富な餌があるからです。都会の中を流れる川は、汚れやすいと言います。今は、昔の自然環境には及びませんが、カワセミのいるという眺めから、新たな詩や物語が生れてくれればいいですね。
人も生き物たちも
自然を愛する気持ちは
変わらない
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カワセミ君! 凄い~ぞ!
今年、最後のパフォーマンス!・・
どうするのかと思いきや・・
二匹を一気に飲み込んでしまった。
少しゲップをして
膨らんだお腹で飛んで行きました。
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