2015-02-01から1ヶ月間の記事一覧

習作(6) 萩茶盌

井戸端で茶碗すすげり梅の花 ( 室生犀星 ) (『文人俳句歳時記』生活文化社) 15.0cm・7.0cm・5.2cm・330g

茶盌の景色(釉の流れ)

やきものの地肌をさまざまに彩り、美しさを完成させるのが釉(うわぐすり)です。その見どころの1つが釉の流れる美しさです。「流れる」という言葉には、物理的な表現以上に、さまざまな感情的な表現に使うことが多いように思います。 雨晴れて緑したたる中…

刷毛目筒茶盌

筒茶盌は、掌の中にじっとかかえるようにして、お茶の温かみを楽しむのに適しております。また湯の冷めるのも遅く、冬季に好んで用いられます。 茶盌には把手がなく直に持つので、茶の暖かさと陶の暖かさとが一体となり、掌に、そして身体に伝わってきます、…

茶盌の貫入

貫入は貫乳とも書き、釉の罅をいいます。もと宋代官窯青磁が罅を特色とするところから転じて日本において罅のことを官窯というようになり、それが訛ってカンニュウとなり、貫入の字が当てられたようです。貫入が生じるのは素地と釉薬の収縮率の違いによるも…

茶盌の高台

茶盌の高台は重要な役割をしています。全体の造形を決めるものであり、その作りの良し悪しが、茶盌の良し悪しに結びつくことが多いと言われています。そして高台に変化を付けることで造形上の趣が出せ、それが「土見せ」といって高台回りの鑑賞の対象ともな…

御本手茶盌

御本茶盌とは、桃山時代から江戸時代にかけて日本から手本を送って朝鮮で焼かれた茶盌です。これらの茶盌は素地の成分から淡紅色の斑文が現れ、この斑文を御本または御本手と呼ばれています。その代表とされるのが「立鶴」の茶盌で、また御本の始まりとも言…

蕎麦茶盌

蕎麦茶盌は高麗茶盌の一種で、蕎麦の名の由来は、いろいろな説があるようです。私は井戸茶盌と共通するものを感じるので「井戸のそば」という考えをしています。私の蕎麦茶盌は練込みにしました。 この蕎麦茶盌は蕎麦を食べる茶盌のことではありませんが、「…

私の蓮茶盌

茶盌の名前が付いた花があります。蓮です。蓮の花の形は茶盌の形によく似ていますので、その形から名づけられたと思いましたが、「茶碗の中でも育てられるほど小さい花」という意味で名づけられたようです。その蓮の名は「八重茶碗蓮」です。実際は茶盌の中…

ゆがみの美(沓茶盌)

茶盌を選ぶ時には2つのタイプがあるようです。茶が立て易く、そして呑み易さを重視するタイプ。反対に自分の好みを重視して立て易さ、呑み易さを考えないタイプです。沓茶盌は後者になるのでしょう。「沓茶盌」と呼ばれるのは、形が神官の履く靴を連想させ…

縄文の盌

(平成12年度特別展〜玉里村立史料館)の資料より この茶碗?は、成田市荒海貝塚で出土された縄文晩期末葉〜弥生時代前期の土器です。大きさは不明なので碗かどうかの判別は出来ませんが・・・魚貝類でも入れたか、または盃(坏)かも知れません?外側の上部…

茶盌の刷毛目

刷毛目は陶器の表面を化粧する技法の1つで、朝鮮高麗末李朝初期に化粧土の不足から考案されました。塗布した跡が刷毛で描いたようで、筆の文化の趣を感じます。 絵付けにはいつも緊張します。筆を持った時に躊躇していると「はしだてや海に一刷毛青嵐」とい…

私の山茶盌

山茶盌とは平安時代末から鎌倉時代にかけて、東海地方一帯で焼かれた無釉の盌で「白瓷系陶器」とも言われます。集落の山中の廃棄場所から大量に出土しており「山からでてくる茶盌」ということで「山茶盌」と呼んだようです。その用途は食膳具ではないかと言…

私の茶盌の白銀比(大和比)

「黄金比」はよく知られていますが、日本にも日本人の好みの美の比率である「白銀比」があります。また「大和比」とも呼ばれています。白銀比とは、簡単に言えば<1対√2>のことで、代表なものとして、私たちが日常使用しているコピー用紙やノートなどのA…

ロック茶盌

酒を嗜むにはいろいろの種類の器があります。私はウイスキーロック用に小ぶりの茶盌を使っています。玉造りで薄く仕上げ、高台は「の」の字にして付けました。手の中にすっぽりと収まる大きさです。古代呉須と鬼板で馴染みのある十草文にしました。藍色と鉄…

茶盌の重さ

私が茶盌を作っていて<形>の次に大切にしているのが<重さ>です。<手取り>という言葉がありますが、茶盌を手に取った時に重いとか軽いとか、手に馴染むとかという印象を言います。重さの感じ方には男性、女性や手の大きさなど個人差があります。また見…

好みの茶盌の容姿(形)  その2

高台は小さいので抹茶茶盌には少し不安定ですが、好きな形です。ルーシー・リーの作品が好きなので、その影響でしょうか? 茶盌を逆さにしてみました。 富士山の稜線は指数関数に重なる (桜井進著「雪月花の数学」より) その指数曲線を意識して作った茶盌…

好みの茶盌の容姿(形) その1

茶盌は手取り、口触り、手触りが大切と言われますが、容姿も重要です。まず目に映るのは形です。この形は井戸形(いどなり)と盌形(わんなり)とを組み合わせてた形で、日常よく見かける飯茶碗の形です。水を掬う時とか、物を貰う時などに、手を合わせて作…