私の茶盌の白銀比(大和比)

 「黄金比」はよく知られていますが、日本にも日本人の好みの美の比率である「白銀比」があります。また「大和比」とも呼ばれています。白銀比とは、簡単に言えば<1対√2>のことで、代表なものとして、私たちが日常使用しているコピー用紙やノートなどのA判、B判のサイズが上げられます。
 少し無謀な挑戦ですが、この白銀比(口径と高さの比)で茶盌の形を眺めてみたいと思います。形状を考えず、約250盌の白銀比を調べました。白銀比は熊川形(盌形)、黄金比は井戸形に多く見られました。
 私の作品の中で白銀比に近かったのは、熊川形の御本手茶盌で√2に近く約1.40でした。

科学的な数字の世界の中には「美しい形の世界」が秘められていることも事実です。しかし茶盌の形の美しさは科学的な数値のみでなく、精神的なことなども考慮する必要があると思います。
 昔の焼き物師たちは、黄金比白銀比を考えて轆轤を回していたわけではありません。数値に出来ない経験と勘で作り上げています。この人間に備わっている素晴らしい神秘的な技に感謝したいと思います。
               

 俳句はなぜ五七五なのか。1・√2・1の1を5に置き換えると 5・7・5になります。日本文化の根底には白銀比があります。( 桜井進著「雪月花の数学」より )

                       13.9cm・9.9cm・4.7cm・350g    

 参考までに大名物・大井戸茶碗(喜左衛門井戸)は、黄金比の1.618にほぼ似た1.73でした。
私の作品の中で黄金比に近かったのは、次の2盌でした。形状によって美しさの違いはどうでしょうか?

最近は白銀比を用いた形状の食器が販売されています。きっと美味しく感じるのでしょう。