茶盌の貫入

 
 貫入は貫乳とも書き、釉の罅をいいます。もと宋代官窯青磁が罅を特色とするところから転じて日本において罅のことを官窯というようになり、それが訛ってカンニュウとなり、貫入の字が当てられたようです。貫入が生じるのは素地と釉薬の収縮率の違いによるものです。作品を窯から出すと空気に触れキーンキーンという小さな罅音がします。その音は生命の誕生のようにも聞こえます。
 昔の茶人は貫入の入った茶盌を好みました。

         窯開き弾く陶音や水温む ( 赤土子 )


  14.5cm・8.5cm・4.9cm・390g
                           
   














焼成後に弁柄で罅を赤くしました。13.7cm・6.8cm・4.0cm・290g