茶壺

 茶壷は茶を葉茶のまま保存・運搬するための容器です。また茶入れにあたる抹茶を入れる容器も茶壺の名で呼ばれます。
 11月は、茶人の正月とも言われる「口切の茶事」が行われ、茶壺の封を切って、当年、初の濃茶を点てます。
 江戸時代には、宇治から将軍に茶を献上するのが通例で、その茶壺を献上するための行列「お茶壷道中」がありました。この行列が通るときに子供が無礼をすると切られたりするので、みんな家に隠れたようです。そして、この行列の厳しさや怖さを、遊びを通して子供たちに教えたのが「ずいずいずっころばし」という「わらべ唄」であると言われています。


     口切りや寺へ呼ばれて竹の奥     ( 召波 )   (『春泥発句集』)

     よい雨や茶壺の口を切る日とて    ( 一茶 )  (『一茶俳句集』岩波文庫