酒盃(4)鉄絵平盃

 加藤唐九郎は「さかずき」という文字が、51文字あることを書いていますが、その中で「觴」を使った句がありました。

    觴に受けて芽出たし初日影 ( 井上井月 )  (『井月句集』岩波文庫

 「觴」は、音読みでは「しょう」訓読みで「さかずき」と読みます。
 この「觴」を使った四字熟語に「曲水流觴」があります。意味は曲がりくねっている小さな川の上流に、酒の入った盃を浮かべ、自分の前を流れていく前に詩を作って、盃の酒を飲むという風流な遊びで、奈良時代から平安時代にかけて行われ「曲水の宴」と呼ばれました。この「曲水」は春の季語となっています。
 子規の「 曲水の詩や盃に遅れたる 」  
の名句があります。

 井上井月(1822〜1887)は、19世紀中期から末期の俳人で、長岡藩出身と言われていますが定かでなく、放浪と漂泊を主題とした俳句を詠んでいます。
      
      口径8.3cm・高さ4.3cm・高台径3.0cm・重さ100g