酒盃(1)面取白盃

 お酒を飲む器として、「盃」より「ぐい飲み」という言葉の方が馴染みが深いのではないでしょうか。
「盃」は「皿にあらず」とも読めますが、皿状の浅鉢から発展しました。「盃」は主に神事などで使用される印象を強く感じます。「ぐい呑み」は盌、猪口から発展し庶民的な雰囲気があります。「ぐい飲み」の由来は「大振りで深形の盃でグイと飲む」というところから来たと言われ、昭和時代に入ってから広く使われるようになりました。
 また加藤唐九郎編の原色陶器大辞典によると「さかずき」の字は、51文字記載されています。「さかずき」は、いろいろな用い方をしていたのではないでしょうか。

 私は知らない間に100個以上の盃(ぐい飲み)を作っていました。一部テストピースを兼ねて作ったものもあります。その中でも一番多いのが面取り盃です。轆轤成形ではなく、削りで残った屑粘土を集めているうちに、自然に手の中で作っていました。

        小盃雪に埋てかくしけり  ( 炭 太祇 )   (『太祇句選』)
           (注)炭 太祇(1709〜1771)は江戸時代中期の俳人

      
      口径5.2cm・高さ6.3cm・高台径3.0cm・重さ70g