鬱陶しい梅雨空が続いています。関東地方の梅雨明けは、いつになるのでしょう。
病気を患ってからは、いつも歩く黒須田川の遊歩道は、リハビリのコースになりました。
この遊歩道も雑草が道路を占領し始めました。雨上がりの後などは、この雑草の茂みから、むっとした熱気のある空気に襲われ蒸せることがあります。このような高温多湿となった草の茂みから発生する熱気を「草いきれ」と言われます。
「いきれ」とは、蒸れてほてることで、この言葉は、古くから俳句の季語として使われてきました。
蕪村の句に「草いきれ人死にゐると札の立つ」『蕪村俳句集』があります。
昔の旅人にとって、この草いきれは耐え難い熱気だったのでしょう。今では「熱中症」になって倒れた人のことかもしれない。
先日の私の病気も、この蒸し暑く湿度が高い時に、十分な水分を取らなかったことが引き金になりました。
「草いきれ」は屋外だけでなく、家の中にも入って来たようです。
「うら窓や頭痛にさわる草いきれ」
一茶『文政句帖』
一茶が江戸に住んでいた頃でしょう。裏庭の草の熱気が家の中にまで入って来て悩ませたのでしょう。
現在は、家の周りは草取りや草刈りがされているので、熱気が家の中まで入ってくることはほとんどありません。しかし道路やコンクリートの熱気が入ってくることはあります。
艸刈のざくりざくりや五月雨
一茶『七番日記』
公園の草刈りも終え、草いきれはなく、涼しい風が吹き抜けて行きます。
私たちにとっては、雑草は生えていない方がいいのですが、この草叢には多くの生きもの(虫たち)が生息しています。夏場になると葉表と葉裏では、温度が5℃以上も違い、葉裏に逃げて暑さを避けている虫は多くいます。
知っている虫、知らない虫たち・・
カメラを向けると面白い動きを見せて逃げる虫、死んだふりをする虫、また小さい体で襲い掛かろうとする虫など・・最後は天敵だと諦めて、見つかり難い葉裏に隠れてしまいます。
次の写真は、雑草が刈り取られる前に、草叢で生きている虫たちを撮影しました。
草叢がなくなると、小さな「いのち」は、天敵に狙わることもあるかも・・その虫たちは、どこへ住みかを移したのだろうか。
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