桜の花も散り、若葉が美しい季節に変わって来ました。
先日、「柿生の里の遊歩道」から「早野聖地公園」を歩きました。
ハンノ木から、眩い緑の光が降りそそぎ、鳥たちの囀りが、木々に木霊して聞こえます。鳥たちの姿は若葉の中に隠れて見つかりません。
落ち葉が積もった山道を下ると「上池」。この池ではカワセミが餌を獲っているのを、よく見かけますが、水が少し濁っているようです。
日本では、四季を通して様々な風が吹きます。
春の風の呼び方も10種類ほどあるそうです。晴れた暖かい春の日に、草木の間を吹き渡る風のことを「光風(こうふう)」と呼ぶそうです。
一つ葉の中より吹や春の風
一茶『自筆本』
枕木の遊歩道は、歩きやすいように整備されています。
草叢に小さい赤い虫が、陽を浴びるように、じっとしているのを見つけました。
「カクムネベニボタル」といいます。体長は8~12mmほどで、ホタルの名前が付いていますが、光らないそうです。
風道を塞ぐ枝より蛍哉
一茶『文化句帖』
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雑木林を抜けると畑が広がっています。大麦かな・・
公園の入口にある「林ケ谷池」。
昨年10月に来た時は、水量はほとんどありませんでした。
「アオサギ」と「チュウサギ」が、少ない水の中の餌を漁っていました。
今は水が満ち溢れています。近くの農地に 使われのでしょう。
その水面に浮かんでいたかと思うと、アッという間に潜り消えてしまう鳥がいました。
そして予想もしないところに、ポッカリと浮かび上がります。
潜水の名手「鳰(カイツブリ)」でした。
全長約26cmほどで、カイツブリ科の中でも一番小さい鳥です。
潜水している時間は、最も長い時で25秒も潜って餌を獲るそうです。
カモの仲間(アカハジロに似ている?)と思っていましたが、まったく関係のない種類でした。
「鳰(にほ・にお)」は、カイツブリの古名です。万葉集などで詠まれている鳥で、昔から知られていました。 その名前の語源は、よく分からないそうで、 カイツブリと呼ばれ始めたのは、室町時代に入ってからだそうです。
カイツブリは、葭原の中などの水面に巣を作ります。水草などで皿の形をした浮いた巣です。
近くに葦らしい茂みがありましたが、その中に巣があるのだろうか。
鳰の巣の一本草のたのみ哉
一茶『七番日記』
私の傍に突然に現れ、近づくと危険を察知したのか、潜らずに水面を凄い速さで逃げていきました。
雛の待つ浮巣に向かって全速力・・その泳ぎの速さには驚きました。
「カイツブリ」は、水上で生活していて、ほとんど歩かないそうで、足は櫂の役割をしています。
「カイツブリ」は、環境省のレッドデータブックによると「絶滅のおそれのある地域個体群」に指定されています。東京都は「準絶滅危惧」種になっています。
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追伸 (2021-4-23)
先日、林谷ケ池に行ってみたら、カイツブリの番いが、一生懸命に浮巣を作っていました。
カイツブリの向こうに見える盛り上がった草が浮巣のようです。
口にくわえて浮き草を運びます。
夫婦で浮巣の周りを見守ります。
天敵が現れたのか、浮き巣に被さるように守ります。
その後、安全を確認しているようにも見えます。
敵は現れず一先ず安心。餌を求めて浮巣から離れました。
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