カワセミ春夏秋冬(14)

 季節外れの暖かい日が続いていましたが、13日、東京地方で「木枯らし1号」が吹いたという発表がありました。

 晩秋から寒い冬を迎えるこの季節は、野生の動物たちにとっては、食べ物の確保が難しくなって来ます。森林などでは、食べ物が少なくなって来ているのでしょうか、野生の動物が生活圏を広げ、里山から人家へまで広がって来ています。熊が人や家を襲う悲しい出来事も起こっています。

 2~3日前、家の近くの公園でモズを見かけました。モズには「モズの生贄」と言われる不思議な習性があります。生贄にするのは、縄張りの確保だけでなく、食べ物を確保するためとも言われています。

 草茎のまだうごくぞよ鵙の顔

           一茶『句稿断片』

「草茎」とは、草をくぐって餌をあさることです。

      *

 食べ物の話では、イソップ寓話『アリとキリギリス』岩波文庫 が、よく取り上げられます。冬の間、野生の生き物たちにとって食べ物をどう確保するかは、生命と大きく関係しています。

 黒須田川周辺に飛来する鳥たちで、カラスは、食べ物を地面、古い巣、木の枝、樹洞などに貯食する習性があるそうですが、私はまだ確認していません。それ以外の鳥たちは、毎日の食べ物を探して飛び回っているのではないだろうか。

   *   *   *

 9月から11月初旬の黒須田川では、まだ寒さは厳しくないので小魚や虫たちの活動が見られます。この時期のカワセミの餌採する様子を観察しました。

<狙う>

<飛ぶ>

<獲る>

<食す>

 こんな光景を見ました。川べりの芝生から狙っていたカワセミは、急に反対側にある2mほどの枝に移り、そこから川に飛び込みました。嘴の長さより大きなオイカワを見事に捉えていました。獲物の大きさによって瞬時に判断して飛び込む高さを決める、さすが漁の名人です。

 ほかにも太陽の光線を上手く活用して枝に止まったり、獲物の大きさによって止まる枝の高さ(2mの高さに止まっていることが多い)を変えたり、薄暮で暗くなってくると川の中の石に止ることが多い。時には、カルガモの餌採の動きで躍り出た小魚を取り合いをするのを見たことがあります。特に川底を小刻みに足で探り小魚を漁っているコサギの傍にはよく飛来して、川の中の動きを凝視しています。

 黒須田川は、カワセミの好きな小魚、ヤゴ、エビなどが豊富なのだろうか。寒くなっても餌採には苦労していないようです。都会に住むカワセミは、雪が降ったり、大雨で増水し濁ったりしすると多少は苦労しているようです。しかし都会に住むカワセミは、四季の変化に強靱に対応しているように思います。

 餌を狙うには、丁度よい距離にある止まり木(傘の柄)ですが・・こんな景色はカワセミには似合いませんね。

       *
       *