カワセミ春夏秋冬(11)

  今年の猛暑を「沸騰化」と表現され話題となっています。また海水が体温以上の温度になっている地域があるなど、今年の夏は、各地で猛烈な暑さが続いています。

 鬼と成り仏となるや土用雲

            一茶『七番日記』

 夏の散歩は、早朝か夕方が良いのですが、私の散歩は、川面から吹き上げる涼風と焦熱のアスファルトの熱風が入り混じった生ぬるい風が吹く日中に歩くことが多いです。それは加齢化によって暑さに弱くなって来ているので「暑熱順化」のためです。ですが太陽の方向や雲の流れや位置などを気にしながら、いつしか木陰や建物の影の方に足が自然と向いています。時々どこからか急に吹いてくる冷風に触れることがあると暑さを忘れさせてくれます

 涼風の曲りくねって来たりけり

         一茶『七番日記』

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 この猛暑、鳥たちも喉が渇くのでしょう。川の淵ではヒヨドリムクドリ、カラス、キジバトメジロ、スズメなどが、水を飲んでいる光景をよく見かけます。その傍を、今年生まれたカワセミの幼鳥が飛んで行きます。今年も息子が誕生しました。

 この時期のカワセミは木の葉の陰にいたり、餌を獲ってもすぐに木の中に逃げ込んでしまい見つけ難いですが、見つけ易いのは警戒していない「水浴び」をしている時です。でも水浴びに出会える機会は少ないのが残念です。

 この半年間、黒須田川で採餌したり、水浴びをするカワセミ親子の水景を集めてみました。

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 黒須田川に飛来するカワセミの縄張りの範囲は、正確には分かりませんが、私の散歩する2kmほどの範囲だろうと思います。「にしき橋」を挟んで、上流に主に親が、下流を子が縄張りとしているように思います。時には一緒に飛んでいたりして、よく止まる木が「クサギ」の枝です。

 この木の下には堰があり、小魚などが集まり良い餌場ともなっています。

 水浴びの後の毛づくろいの時に見られる美しい尾羽。子育ての時期を終えて換羽が始まった母親です。

 美しい羽に生え換わるには、まだ時間が掛かりそうです。

 息子は美しい羽に成長しました。

 視覚的に少しでも涼感を愉しめれば・・

 今年の2月10日の雪の日のカワセミです。

 白峯の雪の目につく暑かな

        一茶『希杖本』 

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