先日、関東地方の梅雨入りが発表されましたが、梅雨の晴れ間の新緑は、瑞々しく美しいです。
木々から巣立った若鳥たちの啼き声が賑やかになりました。時々警戒しながら木の枝から遊歩道の手すりに飛んで来ます。
親の声きき知て飛ぶ雀哉
一茶『文政句帖』
まだ親からの餌を待つ子ツバメたち。もうすぐに親元を離れていきます。
今来たと顔を並べる乙鳥哉
一茶『七番日記』
顔に淡い黄色が残るハクセキレイの幼鳥は、親鳥とほとんど同じ大きさに育っています。
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今年も3組のカルガモの家族が誕生しました。
元気に育っているようですが、散歩のたびに見かけると(5羽→4羽→3羽)(7羽→6羽→5羽)(8羽→7羽)と子ガモの数が減っています。孵化した時の数は分かりませんが、天敵(カラス・ヘビ・猫など)に襲われたと思われます。
5月25日、沖縄の石垣市で「ゴイサギがカルガモ捕食」というニュースがありました。黒須田川に飛来するゴイサギは・・
鶴見川と黒須田川の合流する付近で、餌を狙うゴイサギを見つけました。子ガモを襲う様子ではありません。
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カルガモ親子の散歩する様子は話題となり、よく紹介されています。
子ガモは、巣立つと直ぐに自分で餌を獲りはじめます。しかし母ガモは、餌場所の確保と天敵から子ガモを護るために、行動範囲を広げる子育てをするようです。その中でも障害(高さ)を乗り越えるために、いろいろと挑戦させているようです。その行動を観察しました。
黒須田川には、高低差の違う堰が、いくつもあります。高い所では1m近くもあり、その場所には、石が積まれて飛び越しやすいようになっています。成鳥なら簡単に飛び越える高さですが、まだ羽が成長していない子ガモにとっては、この高さは大きな挑戦になります。
母ガモは子ガモに、この堰を乗り越える方法を、どう教えるのでしょうか。
まずは母ガモが登って見せます。
「さあ、登ってごらん」
不安そうな小さな声で鳴いては、母ガモを見上げているだけで動きません。
「わぁ!たかいな~」
「お母さんがもう一度やって見せるからね」
母ガモは、子ガモのもとに飛び降ります。
「このように飛びあがるのよ」
母ガモは飛び上がってみせます。
「でも飛び上がれない!?」
子ガモたちは、別の方法を考えます。
「こちらの方はどうかな?!」
「でも流れが速くて流されちゃうよ~」
子ガモの戸惑っている様子を見ていた母親は反対側の堰から、子ガモに呼びかけます。
「こちらから、登ってみては?」
母ガモのいる側には、石が2つありますが、高さは変わりません。子ガモはモジモジするだけで挑戦しようとしません。
「こちらも高いな~」
そこで真ん中の流れの中を泳いで登る方法に挑戦させます。
「流れが速いが・・ここから登ってみなさい?」
母ガモが手本を見せます。
「お母さんの後について来て」
子ガモは、母ガモについて行こうと挑戦しましたが、水の勢いには勝てず流されてしまいました。
「ああ~ダメだ・・」
母ガモは、子ガモの体力を知りながらも、場所を変えて挑戦させましたが、この堰を乗り越えることはできませんでした。
「でも、よく頑張ったね。さぁ帰ろうか」
きっとあと1ケ月も経てば、この堰を簡単に飛び越えてくれるでしょう。今回の挑戦は、幼鳥が自然の中で生きていくためには、必要な挑戦なのかもしれない。
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