5月10日から16日までは「愛鳥週間」です。1950年(昭和25年)に、この週間が定められてから70年以上になります。
私たちの身近に生息している野鳥たちは、どんな環境の中にいるのだろう。
今回は、黒須田川(上流付近)に飛来する野鳥たちの様子を眺めてみました。
ほとんどの野鳥は、川の中や周辺の木々に止まったりしています。人が近づくと逃げていきます。しかしのんびりと餌を漁っているのはカルガモ、マガモです。その他の野鳥たちにとって一番の天敵は人のようです。
こんな場所に・・逃げる?
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逃鳥やどちへ向けても人の声
一茶『文政句帖』
老鳥の追れぬ先に覚期哉
一茶『文政句帖』
逃鳥や子をふり返りふり返り
一茶『自筆本』
追れ鳥事すむ迄はかくれ居よ
一茶『文政句帖』
追鳥を鳥笑ふや堂の屋根
一茶『文政句帖』
親子鳥別れ別れに追われけり
一茶『文政句帖』
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黒須田川は、住宅地の中を流れている準用河川です。この川は豪雨などで起きる水害を防ぐために必要な河川です。しかし野鳥たちにとっては、このコンクリートに囲まれた川は、生息するには居心地のいい川ではないかもしれません。
でも野鳥たちにとっては、この川や周辺の樹木から食べ物を得ており、生きるには必要な場所でもあります。
黒須田川に飛来する野鳥たちは、どんな餌(魚、虫など)を食べているのだろうか。
<ハクセキレイ>
<シジュウカラ>
脚で掴んでいる獲物は・・
<カラス>
これは・・?
<キセキレイ>
<コサギ>
<チュウサギ>
水鶏なく拍子に急ぐ小雲哉
一茶『七番日記』
<ジョビタキ>
<シオシギ>
<メジロ>
<カワセミ>
鳥によって食べる物(魚・ドジョウ・エビなど)には違いがありますが、獲物には恵まれた環境だろうと思います。時には信じられないものを食べて・・います。
雨が降った後の泥水でも・・
カワセミは、大きな魚を獲っていました。
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「愛鳥週間」を機会に、都会の中で生息する野鳥と人と関係、そして環境について考えてみました。
『身近な鳥の生活図鑑』(三上修著・ちくま新書)を読むと・・
私たちの生活する周りに多くの野鳥が生息しているのは嬉しいですが、良い面と悪い面があります。特に、餌やりについては、人によって価値観の違いがあり、判断をするのは難しいようです。悪い面としては、鳥が不健康になる。鳥の生態を変える。餌を与えている以外の生物への影響。水質の汚染。人が受ける害(鳥の糞)などが挙げられています。
その解決策も書かれていますが、 都会の中で生息する野鳥と人との軋轢は避けられないようです。
また 都市にいる鳥を見る楽しさについても触れられています。
「都市にいる鳥を見るときは、都市の歴史に思いを馳せてみることです」「都市によって生息している違っていて・・その都市の歴史を反映していることです」「都市の歴史が鳥の生息場所を作った・・そこに住む鳥たちに影響を与えます」「都市が拡大すれば、当然、自然環境は少なくなり消えていきます」
いろいろな都市や場所を訪れる時は、その都市の歴史を調べて見ることによって、鳥たちの世界がより深まるように思います。
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今年は異常気象で暖かい日が続きました。黒須田川の水の流れが弱く、滞って淀みが出来、いつもの年よりも藻の発生が多くなっているように思います。
それ以外にも、ゴミ(ビニール、アルミ缶など)が流れを堰き止めたり、汚れが目立ちます。こんな張り紙も、随所に掲げられています。
こんな風景の中で「清流の宝石・カワセミ」を見たくはありません。
こんな環境の中で、鳥たちの体の仕組みの多様さと環境への適応力の凄さを感じます。
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元気なカルガモの子(12匹)が生れました。
こんな風景を見ると、散歩していても癒されます。
これまで先を争って餌を漁っていた子ガモたち。
母親が繁みに上がり眠りだすと、その傍で体を寄せ合って眠り始めました。
母親は「お休みの時間ですよ」と子供たちに語り掛けたのでしょう。
こちらは遊歩道のど真ん中で愛し合う二羽。
クルックーポッポーという鳴き声が、愛の囁きにも聴こえそうです。
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