例年より早い梅雨明けでしたが、戻り梅雨となり短時間に記録的な大雨が降っています。突然、黒い雲に覆われ激しい雨が降り続ける、このような光景を「黒雲白雨」というのでしょうか。被害が発生している地域もあり心配です。
私の住んでいる近くの黒須田川、時々水量は増しますが、大きな影響はないようです。水辺に棲息する「ハグロトンボ(羽黒蜻蛉)」は、昨年よりも早く活動を開始したようです。
鬱陶しい梅雨の晴れ間には、涼しい光景を演出してくれます。
優雅にひらひらと蝶のように舞いながら、水辺から遊歩道へ・・時々足元に絡んで来たりします。
羽根の色が黒いのでハグロトンボと言われています。雄の体色は、金属光沢した美しい緑色で、やや冷たさを感じますが、今の季節には清涼感があり、散歩者を癒してくれる色でもあります。
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ハグロトンボと少し離れた場所で、これまでに見たことのない黒と白の2色のトンボを見つけました。
調べると「コシアキトンボ(腰空蜻蛉)」でした。腰のところが白く空いたように見えるので「コシアキ」という名が付きました。ユニークな名前です。でも一目で分かり、忘れられない名前です。
すべての生き物には名前が付けられています。世界共通の「学名」と日本での「標準和名」の2つです。学名の命名法については省きますが、名前はラテン語で書かれています。和名は、色、模様、形、行動などで付けられます。また発見者や発見場所に由来するものもあります。
日頃、私たちの見る生き物は「学名」ではなく、親しみのある「標準和名」で呼んでいます。しかし調べると直ぐに分かるような和名ばかりではないようです。蜻蛉の和名にも「蝶蜻蛉」「団扇蜻蛉」「昔蜻蛉」などがありますが、直ぐにどんな蜻蛉か浮かんできません。
また我が国初の全国方言辞典である『物類称呼』(岩波文庫)には「蜻蛉」の歴史や呼び方などが載っています。特に地方や地域によって様々な呼び名があり、その名の由来を知ると、また生き物たちの見方が変わるかもしれません。
この「コシアキトンボ」は、縄張り意識が強く、縄張り付近に寄って来るトンボを桎梏追い回します。水草に止まったところを、やっと撮ることが出来ました。
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黒須田川に飛来する黒い鳥(鴉)と白い鳥(鷺)の光景です。
この2羽が同時に飛来したり、餌を漁る様子に出会える機会は少ないです。
時には「カワウ」も現れます。サギとは相性がいいようです。
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芥川龍之介の俳句に「鵠は白く鴉は黒き涼しさよ」芥川竜之介俳句集・岩波文庫というのがあります。
豪雪地方の生まれの小林一茶に映る「黒」と「白」の見え方はどうだったのでしょう。
黒葡萄天の甘露をうらやまず
『文政句帖』
しなのじやそばの白さもぞっとする
『七番日記』
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