この2~3日、20℃を超える日々が続き、初夏の陽気です。
木の葉の色も深みを増してきました。
木々の間から吹き抜ける爽やかな風。
何もかもが生き生きとして眩しい。
散歩でよく通る、この木造の欄干には、小さな幼虫たちの世界が展開されていました。
柔らかい日差しに暖められた木の温もりが、心地よいのでしょうか。
どこに向かって歩いて行くのだろう。大小の幼虫が様々な動きをしています。
このような幼虫が苦手な人が多いようですが、ヒョコヒョコと可愛い歩き方を見ると癒されるという人もいるそうです。
私も歩くのを止めて、ユニークな動きを眺めてしまいました。
このΩの型(U字型)に見える幼虫は「尺取り虫」です。
尺取虫は、シャクガ科の蛾の幼虫です。
尺取り虫の種類は多く、色、大きさや模様も異なり、日本には800種類以上いるようです。
U字型のような歩き方をするのは、お腹の部分の足の退化によるものです。
名前の由来は、歩くときに屈伸する様子が、指で尺を取るのに似ていることから「尺取り虫」といわれます。
英語では「inchworm」と言い、長さを表す言葉になっています。
尺取り虫を「芋虫」と言ったりします。「芋虫」は、毛虫以外の蝶や蛾の幼虫を言います。この中に尺取り虫が入ります。また「青虫」と呼ばれている幼虫も、この芋虫に入ります。
この尺取り虫の特徴は、敵から身を護るために擬態する習性があります。木や葉に化けるもの物が多く見られます。
カメラを近づけると、棒立ちになって威嚇する幼虫もいたり、死んだふりなどをして動かない幼虫もいました。
この茶色と黄色をした尺取り虫は、成虫になったら、どんな色、大きさや模様の蛾になるのだろうか。
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この団子が繋がったような幼虫は「ヨモギエダシャク」と思われます。
この姿を見ていると小さい時の遊び「いもむしころころ」が思い出されます。
「いもむしころころ」は、江戸時から歌われてきたわらべうたで、子供たちの遊びの一つです。小さい時にやった経験があるのではないでしょうか。
子どもが縦に並び、しゃがんで前の人の腰を掴み「いもむしころころ ひょうたんぽっりこ」と頭を振りながらノロノロ歩く遊びです。
こんな可愛い遊びがあるかと思えば「尺取り虫に体を測られると死ぬ」という俗信や民話もあるようです。
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この黒い斑点のある1.5cmほどの尺取り虫、この橋の長さを測っているのだろうか。
それとも餌か塒を求めて歩き続けているのだろうか。
ヒヨドリやシジュウガラに見つからないように・・
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あの虫に尺を取らるる柱哉
一茶『八番日記』
宮本武蔵の墨絵に『枯木鳴鵙図』があるそうです。
絵を見ていませんが、細い枯れ木の上に鵙が止まっている、そこに向かって登る?一匹の毛虫が描かれているそうですが。この絵の解釈は・・
機会があれば、この墨絵を見てみたいと思います。
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10年ほど前に制作した花入ですが、尺蠖耳かな?
焼締耳付花入
高さ:18.7cm・重さ:920g
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