昨年、あざみ野駅構内に 2つのツバメの巣がありました。残念ですが一つが壊れてしまいました。その壊れた巣の場所にツバメが帰って来ました。
久しぶり顔もって来る燕哉
一茶『七番日記』
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先日、田園都市線 あざみ野駅の東側に流れている「早渕川」の遊歩道を歩きました。遊歩道というより生活道にもなっています。
歩行よい程に風吹く日永哉
一茶『文政句帖』
歩き始めて、今日は 夏日の気温になりそう。
「中村大橋」からは、一級河川で川幅も広くなっています。
流れも緩やか。水は澄んで綺麗です。
「ハシボソガラス」は、美味しそうに水を飲んでいます。
ばか長い日やと口明く烏哉
一茶『七番日記』
葦の間で哀しい「マガモ」の鳴き声が聞こえてきます。
誰?・・雌を探しているようです。
雌のマガモは、石の上にいました。夫婦だったようです。姿が見えたのでしょう。突然、同時に下流の方向に飛び去りました。その後、このマガモ夫婦には出会いませんでした。
早渕川は、全域がコンクリート護岸になっており、川の傍まで降りられません。この東名高速道路の下では、水に触れることができます。
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浅瀬をヒョコヒョコと歩いている黒い生き物を見つけました。
「カワウ」でした。潜る様子はよく見ますが、こんな姿で歩くのを見たのは初めてです。
傍にいる「カルガモ」は、すぐ逃げるのですが、餌を漁るのに夢中です。
一方「コガモ」の夫婦は、お腹も膨れ昼寝のようです。
流れ木に曲眠りする小鴨かな
一茶『文政句帖』
「早渕川」は、青葉区美しが丘を源として、都筑区、港北区を流れて鶴見川に合流しています。この川は、多摩丘陵の成立とともに雨の浸食と湧水による蛇行になり「早瀬」と「渕」がありました。そこから「はやぶちがわ」と付けられたと言われているそうです。そして川底には、随所に土丹層が見られます。
246号線を越えると、川幅は広くなり開放感があります。
鍛冶橋には堰があり、穏やかな流れで生き物たちの集まる場所となっています。
亀と鯉とカルガモと鳩。
そこにカワウも・・
歩道からは見えませんが、渕には小さな魚がいるのでしょう。
川の上を縦横に飛び回る燕。そろそろ梅雨の知らせかな。
ここに生息する亀は、外来種が多いそうです。
一茶は『七番日記』の中で、文化9年2月に下総方面を旅した時、亀について十数句詠んでいます。
亀にとどきさう也亀の首
一茶『七番日記』
(注)俳句では「亀」は無季で「亀鳴く」となると春の季語になります。
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鍛冶橋を過ぎると護岸に木々が目立ちます。そのせいか川幅も少し狭く見えます。
新緑で覆われた川は、生き物たちにとっては、いい環境になっています。
川の色も深みのある緑色に。
川面に映る木々が美しいです。
ところどころに土丹層が現れ、水の流れや色にも変化があります。
平らな土丹層ですが、細かい起伏があり、そこに流れる水の動き、輝きは美しい。
水の流れる音は微かにします。周囲の騒音でかき消されそうです。
水の波紋の美しさ。
川面に吹く薫風が波紋を変えてくれます。
その水の動きには癒されます。
川幅が狭くなるところでは、複雑な水の動き。
この流れの中を昇る鯉が、また新しい波を作ってくれます。
居ました。
見つけました。
「カワセミ」
川の傍に生えた木。水の流れと淀み。そして深さ。カワセミは、魚がいる場所をよく知っています。
飛び込む音が聞こえました。
カワセミは餌を獲ると、近くの木陰に隠れます。今日は天敵が現れないようです。
この後、カワセミを見つけることはできませんでした。
下流に行くと、川の中に石が多くなります。水の流れも変わり、水音も大きく聞こえます。 一部で護岸の補修工事が進められています。その川の中でも亀と鯉は元気に泳いでいました。
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春の日や水さえあれば暮残り
一茶『文化句帖』
商業ビルの立ち並ぶ境田橋まで2時間ほど歩きました。早渕川のほんの一部の生き物としかあえませんでした。
川(水)を求めていろいろな鳥や生き物がやってきます。都会の中を流れる川だけに、周りの環境との調和が求められますが、少しでも多く自然環境を残して欲しいと思います。
昨日 、5月4日は「みどりの日」です。
その緑を支えている水、そこに集まる生き物たちのためにも、水の環境も大事にしていきたいものです。
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