庭に来た鳥(3)

 工房の庭の山桜も、今が満開です。花蜜を求めてメジロがよく来ます。

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 先日、1年ぶりに素焼きをしました。今回で61回目になります。

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 素焼きの合間を縫って、工房の前の垣根の草取りをしました。

 4年前に一部を伐採した栃の木でトントンと音がしました。そして鶯の鳴き声に混じって、時々ギーギーと、今までに聞いたことのない鳴き声が聞こえて来ます。不審に思って木を調べるとコゲラ(小啄木鳥)が巣穴を作っていました。

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 コゲラは、日本に生息するキツツキの中で、最も小さい鳥です。大きさはスズメほどです。本来は山地の林に生息しますが、近年は市街地でも見られます。

 私たちは、この鳥を「啄木鳥(キツツキ)」と呼んでいますが、「キツツキ」とは、キツツキ科の鳥の総称のことです。

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  工房の周りは雑木林ですが、庭の木で見つけたのは始めてです。

  この木は工房の傍にあります。室内からその様子を眺めることが出来るので、素焼きをしながら観察しました。

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  嘴で木を強く叩くトントンという音は「ドラミング」といいます。コゲラのドラミングは、音が小さいので騒がしいと聞こえないこともあります。

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 キツツキが木を叩く(つつく)のは、木の中の昆虫を食べるため、巣穴にするため、そして仲間とのコミュニケーションを図るためでもあります。

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 ギーギーという鳴き声は、縄張りの主張や家族の確認をするためだそうです。

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 掘られた穴は綺麗な円形になっています。体の大きさに合わせて掘っていく、その技術には驚きます。

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 足の指には前後二本ずつ、鋭い爪があり、それで樹幹に垂直に止まることができます。

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 鋭い嘴。この嘴で穴を掘っていく。嘴はかなり強固のようです。

 切り取る木の量は少ないので根気のいる作業です。

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 何日かかったか分かりませんが、ここまで体が入っています。

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 コゲラは警戒心が強く、穴を掘りながらも、周りをキョロキョロと見ます。

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 穴から離れて周囲を見張ります。

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 今日も一日中、飽きもせずコツコツと穴を堀り続けました。脳震盪を起こさないのだろうか。

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 とうとう夕方近くまで観察してしまいました。

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 啄木鳥や日のかたぶくを見ては又

         一茶『発句鈔追加』

 一茶は啄木鳥を秋の季語として詠んでいます。この鳥は季節の特色はない留鳥です。秋の季語に入っているのは疑問が残ります。

 『野鳥歳時記』(山谷春潮著・冨山房百科文庫・1995年5月刊)では、無季の鳥として扱っています。

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 陽が沈む前に、素焼きは無事に終わりました。

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