五位鷺

 もう明日は8月です。大暑も過ぎました。梅雨明けは、いつになるのでしょうか?

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 先日、病後1ケ月ぶりに茨城の工房に行きました。雨の日の続く中、庭木の剪定と草刈り、除草をしました。雨と寒い日が続きましたが、庭木や垣根の木々は、周りを覆うように葉を茂らせていました。

 雨後の蒸し暑さと細かい虫などが飛び交う中での庭作業は、病後でもあり疲れました。庭作業は、梯子の上がり降り、木に合わせ不自然な姿勢での枝払い、立ったりしゃがんだりと、体力を使う作業です。

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 工房の近くの田んぼでは、稲が青々と成長しています。しかしこの梅雨寒が続くと農家の人にとっては、収穫が心配となります。

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 その異常気候とは関係なしに、青田に悠然と現れたのは「アオサギ」です。 横浜の黒須田川で、よく見るアオサギとは違う優雅さを感じました。

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 青鷺を連にもせぬかは羽抜鳥

        一茶『文政句帖』

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 この田んぼには、雉がよく来ますが、アオサギを見たのは始めてです。

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 今回の工房の庭作業は、予定の半分しか出来ず、雨の降る中を、早々と横浜に帰宅しました。

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 帰宅後も、スコールを伴った雨が降り続き、蝉の鳴き声だけが大きくなっています。

 「蝉が鳴くと梅雨が明ける」という声を、巷間で聴きましたが、その真偽は・・?

 黒須田川の遊歩道のど真ん中では、その蝉が・・夏はいつ来るの?来ないの?・・早くも睦あっていました。

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 黒須田川の水は、雨が降ると直ぐに濁りますが、翌日には、直ぐに透明度が上がります。それを知ってかどうか、コサギアオサギカワセミ、カワウなどが餌を漁りにやって来ます。餌を漁らず草木の茂みに隠れている鳥がいました。この川では初めて見る鳥です。

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 「五位鷺ゴイサギ)」でした。ゴイサギは、昼間は林の中などでじっとしていて、夕方から川や池へ出かけ、夜に餌を捕る夜行性の鳥です。昼間に人家の近い場所に現れるのは少ないそうです。またゴイサギは、夜に「クワァクワァ」と鳴くので「夜烏」とも呼ばれています。以前に夜に烏の鳴き声を聴いたことがありますが、ゴイサギの鳴き声であったのだろうか?

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 「五位」の名の由来は、醍醐天皇が池にいた鳥を見つけ、捕獲するように家来に命じました。鳥は逃げることもなくおとなしく捕まりました。天皇は命令に逆らわず神妙であると、ご褒美に五位の位を授けました。それから、この鳥は五位のサギ、ゴイサギになったそうです。

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 ゴイサギは、すらりとしたアオサギと比べると、ずんぐりとしていて格好はよくありませが、ペンギンに似ていて愛嬌のある鳥のように見えます。しかし、このゴイサギには妖怪伝承があるようです。

 茨城民俗学の会の『茨城の民俗』(1981/12/1発行)によると「光る鳥を見たのは昭和3年のことで、5、6月の夜8時ごろ、ぼんやりした青白い光が、ぽっぽっぽっと、ちょうど息つくように飛んでいった。ゴイサギが光るのだとよくいわれていた。」ゴイサギの夜の行動が載せられていました。夜に飛んだ時に、胸の白い羽が光って見えるのでしょうか。

 五位を賜った鳥だけに、謎を秘めた光る鳥なのかもしれない。

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 朝鮮唐津花入  高さ:20.8cm

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