新型コロナの影響で、黒須田川の遊歩道を、なるべく人を避けて歩く日が多くなりました。
この川に飛んでくる鳥たちの囀りを聞きながら、その生態を眺めるのも楽しいものです。
水浴びを終わった後に・・
石の上でゆっくり乾燥?
石の上で鋭い目で獲物を監視。
見つけて突撃・・
無理をして堰を超えなくとも。
飛べばよいのに・・
よく動き回るハクセキレイ。
石につく虫を食べるのが大好き・・
ムクドリの行水。カラスに似て清潔?
濡れたまま、すぐに飛び立っていく・・
突然、現れて得意なパフォーマンス。
あたりの餌は一網打尽・・
私の好きな鳥キセキレイ。
腹の白と黄色が美しい・・
あの長い頸は?必要な時以外は縮めています。
でも貫禄があります・・
昼寝が好きな真鴨。
音には敏感で、人が近づくとすぐ目が覚める・・
鳥たちには、水辺の石は生活の場(餌場)であり、遊びの場でもあります。その動作には愛嬌があり、惹き付けら見入ってしまいます。
水流が石にぶつかる時、マイナスイオンが発生するともいわれています。
人間にとっても、せせらぎの音、水の流れの美しい波紋は、耳と眼を和ませ、癒してくれます。
人々、そしてそこに生息する生き物たちに、なくてはならない、この石は、上流から流れて来たものではありません。そこには知恵と工夫があったように思われます。
黒須田川は、住宅地の中を流れています。大雨で増水した時の排水路の役目をしています。大雨の時は増水して濁流となりますが、日常は田園の小川のように長閑な水の流れです。
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この長閑な水辺が再生された経緯について調べてみました。
JRRNが2015年3月に発行された冊子『できることからはじめよう 水辺の小さな自然再生事例集』の中に、黒須田川「硬い粘土でできた川底にも緑がよみがえる」という取り組みが紹介されていることを知りました。
実施されたのは、2006年に検討され、2007年8月に試験施工されました。
(注)「JRRN」は、日本河川・流域再生ネットワークの略
施工の目的は「両岸はコンクリート、河床は土丹といわれる硬質粘土層が露出する単調な黒須田川。そんな川に、大雨の濁水に含まれる僅かな土砂をトラップすることで植物を生やし、多様な流れを創出しています。」と書かれています。
この取り組みによって、現在は、単調なコンクリートの河川であった黒須田川がよみがえりました。
硬い土丹層を生かした自然の再生(美しい水辺の環境)は、周辺の人々にとっては、日々の憩いと潤いを与えてくれています。
この「土丹」とは、砂質粘土が堆積して長年にわたって固く凝固した土です。
色は青みががったグレー色が多く、岩盤のように硬い土質です。
その「土丹」を近くで採取しました。
私の住んでいる付近は、土丹層(地質時代としては第三紀層に分類)のようです。
その層が露出している場所も多々あります。
建築現場で、こんな地層を見ることが出来ました。
土手にも土丹層が露出、草も生えていません。また地下水が流れ出ているところもあります。
このような地層の川に取り入れられたのが「バーブ工法」です。
「バーブ」とは、釣り針の先についた逆向きのとげのことです。<バーブ工法>とは、川の上流に向けて突き出して設置し、流れてくる砂を留めて寄り洲を作るための河川工法です。
この工法によって、年とともに土も堆積して植物の生育を促し、 川辺の草や木々が育って来ています。それとともに河床の土丹層が水流によって浸食され、新たな自然な渓流を作り出しています。
浸食された土丹層から落ちる水が、土丹の窪みで渦をまいて起きる音。
その音は、せせらぎの音より小さく、近かづかないと聞き取れない音です。
しかし、水の流れがたおやかで美しい、この風景は好きです。
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植物の生育には「土」は欠かせないものです。その土が流れないように工夫・改良されたのが黒須田川です。
反対に川から揚げた土もあります。その土は栄養分が豊富です。園芸が趣味であった一茶は、こんな活用も・・
揚土にしばしのうちのさし木哉
一茶『七番日記』
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私たちが何気なく使っている「土」という言葉、地質学的には、土の粒(土粒子)の大きさによって区分されています。
直径2mm~1/16(0.062)mmの堆積粒子を「砂」と呼び、それより粗いものは「礫(レキ)」、この「砂」「礫」より細かいものを「泥」と呼ばれ、更に細かく1/16~1/256mmのものを「シルト(沈泥)」、それ以下のものを「粘土」と呼びます。
私が焼き物に使うのが、この粘土です。
工房の近くで採集した粘土らしきもの?です。
「砂」と「シルト」と「粘土」が混在しています。少し鉄分が多いようです。
可塑性、耐火性が劣るようなので、市販の信楽の粘土と混ぜました。
只今、作品を制作中。
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