夏日が続くと、もうトンボが・・
一番早く現れるのが「サナエ(早苗)トンボ」です。早苗取りの頃に発生するので、この名が付いています。種類は約30種もあり、名前は分かりませんでした。
田んぼでは、田植え水を引き込み始める時期になりました。
朝富士の天窓へ投る早苗哉
一茶『稀杖本』
今は、田植え機で植えますので、こんな長閑な田植え風景はほとんどなくなりました。
青田の広がっている景色は、初夏の風物詩でもあります。
遊歩道の桜並木、いつの間にか青葉並木に変わりました。
美しかった河床の花桃の木には、青い実がたくさんなっていました。
石垣は、小さな草花(雑草)の宝庫で、春の雑草をほとんど見ることが出来ます。
石垣の隙間に溜まった少しの砂と雨水で生きる、その生命力には驚きます。
その中で気になった草花の一つ・・花らしいものは見えませんが・・
よく見ると小さな花が咲いていました。
「胡瓜草」です。
花の大きさは、約2mmほどの小さい花です。
中心にある副花冠の黄色と花弁の薄い青色との組み合わせが清々しい花です。
気にしなければ、見過ごしたり、引き抜いてしまいそうです。
可愛い花だけに、もうすこし可愛い名前を付けたいものです。
道路のアスファルトの隙間からも生えていました。
この花の特徴は、花序が「サソリ型花序」です。最初はサソリの尾のように巻いていますが、だんだん花が咲くと真っすぐになってきます。このような花序を「サソリ型花序(巻散花序)」といいます。
よく似た花に「ワスレナグサ」と「ハナイバナ」があります。その違いは「ワスレナグサ」の方が花が大きく、濃い色をしています。「ハナイバナ」は、花の中心の副花冠が、黄色でなくて、花びらの色と同じブルーとなっています。
この「胡瓜草」の名前の由来は、茎や葉を揉むと胡瓜に似た匂いがすることから付けられたそうです。
匂いを嗅ぐテントウムシ(ナミテントウ?)は、胡瓜と間違えたかな・・?
私たちが良く食べる野菜の「胡瓜」は、6世紀後半ころに中国から伝来。名前に「胡」が付くのは、シルクロードを経てきたことを示しています。江戸時代には野菜として広く栽培されました。
人来たら蛙となれよ冷し瓜
一茶『句稿消息』
この瓜とは「真桑瓜(甜瓜)」のことで、冷たい井戸水で冷やした瓜は、甘くて美味しかったようです。江戸時代には、西瓜とともに夏の氷菓(果物)の1つでした。しかし「胡瓜」より「真桑瓜」の方が人気があったようです。
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今年のゴーデンウイークは、新型コロナの影響で移動が禁止。多くの人がオンライン帰省(ビデオ通話)となりました。故郷では、帰ってくるのを楽しみにしている家族も多くありました。
冷し瓜二日立てども誰も来ぬ
一茶『文化句帖』
今は、瓜より初物の西瓜かもしれない・・
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茶碗とガラスをコラボしてみました。
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