「春は名のみの風の寒さよ・・」
この言葉は、多くの人が知っている唱歌「早春賦」の最初の歌詞です。1913年(大正2年)に作られたので、古めかしい言葉使いの歌ですが、今の季節にピッタリのように感じます。
今日も、いつもの黒須田川の遊歩道を歩くと冷たい風が頬を射します。名のみの春だと強く感じます。この寒さのせいか、このひと月近く、カワセミに出遭う機会が少なくなったように思います。いつもいる橋の下とか、よく止まる木々などにいなかったりします。そろそろ子育ての準備に入ったのかな・・
他に理由があるのだろうかと、いつもの散歩道を少し伸ばして、鶴見川と合流する付近まで歩いてみました。
そういえば昨年暮れからこの立春まで、ほとんど雨が降っていません。そのため黒須田川の水量が減っています。冬はもともと水量は少ないのですが、今年は、昨年と違い勢いよく流れていた堰の付近の流れが弱いように思います。
特に上流(すすき野付近)の流れが弱く、傾斜があるところは流れがありますが、傾斜が緩やかな場所は水が留っています。そしてそこには茶色い藻?ヘドロが固まったようになり、川辺の水草や石に絡みついています。
水も少し濁っているように見え、悪臭が漂って来るような気がします。
カワセミが餌を狙ってよく止まっている木の下には、丸くなったヘドロのようなものが浮いています
カワセミが餌を狙うには難しいようです。当然、そこに住む生き物たちにとってもいい環境ではないはずです。
コサギは、その藻の下にいる魚を狙っていましたが、直ぐにその場所から離れてしまいました。
いつもは美しい波を描いていた土丹層の上も、水が流れずコケが枯れています。微かに残った水の中の虫をセキレイが獲っていました。
下流になると水の量も少し増え、流れもあり茶色い藻は少ないようです。
石垣の枯草の中に、元気なカワセミを見つけました。
眼下には鯉が数匹元気に泳いでいます。その動きを精悍な目で追っているようです。
まだカワセミの餌場が残されており安心しました。
雨が降れば、少しはこの環境もよくなってくれるのでしょう。
名のみの春は、いつまで・・
川辺に自生した梅の蕾の膨らみが、春の風を呼んでくれているようです。
梅花やあけべべきよと鳥の鳴
一茶『七番日記』
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