翠(みどり)

 今日は、黒須田川を離れて新緑を求めて、川崎市の「柿生の里の散策路」を歩きました。

 この「柿生の里の散策路」は、柿生駅前から王禅寺ふるさと公園までの約6km(4~5時間)の散策コースで、懐かしい里山風景や神社、お寺など歴史文化が残る散策道です。

 私は、自宅に近い虹ヶ丘口から、上池~五郎池(早野の里の入口)までの約1kmほどの散策路を歩きました。

f:id:kanamankun:20200415164401j:plain

 樹高が15m以上あるい榛の木(ハンノキ)林が、散策路を覆いかぶさるように広がり、その木々から鳥の囀りが聞こえてきます。

(注)「榛の木」は山野の低地や湿地、沼に自生する落葉樹木。

f:id:kanamankun:20200415172528j:plain

f:id:kanamankun:20200415173100j:plain

f:id:kanamankun:20200413153535j:plain

 若葉が萌える緑がいっぱいです。

 すべてが瑞々しい緑という感じです。

f:id:kanamankun:20200413162251j:plain
 草叢の小さな花から・・

 潤いのある若葉から・・

 柔らかい春の木漏れ日から・・

 マイナスイオンが降りかかるようです。

f:id:kanamankun:20200415165801j:plain

 湿地が続きますが、道路はよく整備されています。

f:id:kanamankun:20200413164142j:plain

f:id:kanamankun:20200413153723j:plain

 振袖にすれすれ山の青む也『自筆本』

という一茶の句があります。振袖ではありませんが、周りの緑が身体にすり寄ってくる感じがします。

f:id:kanamankun:20200413153836j:plain

 緑色のもつ心理効果について、疲れた身体や目を癒す、リラックス作用、穏やかな気持ちを与えてくれるなど、現代人を癒してくれる効果があります。

f:id:kanamankun:20200413154026j:plain

 また生理学的に見ても、個人差はありますが、光のエネルギーに対して目が感じる明るさは、緑色が最も明るく感じます。そのため疲れにくい色ともいえます。

 蛇足になりますが、黒板の色が緑色になったのは、理由は定かではありませんが、緑色は、疲れず目に優しいことも理由の一つでだったようです。

f:id:kanamankun:20200413153906j:plain

 緑色の呼称として『色の日本史』(長崎盛輝著・淡交社によると

「『古事記』の大国主命の歌に「そにどりの青き御衣」があり、そにどりの羽が緑青色であることから、その名を借りた緑色の呼称である。・・みどりの名は、このそにどりに由来すると思われる。・・そにどりが転じてにどりに、更にみどりに再転したのであろう」と書かれています。

そにどり」とは「翡翠カワセミ)」のことです。

「 翠」は、訓読みで「みどり」です。青色と黄色の間の色を言います。

    *

 2羽の翡翠カワセミは、黒須田川で撮影しました。

f:id:kanamankun:20200413214333j:plain

 これは「オス(翡)」で、その見分け方は、嘴がすべて黒色です。

f:id:kanamankun:20200414103034j:plain

 こちらは「メス(翠)」です。嘴の下が赤いのが特徴です。

カワセミ」を見て緑色には見えません。なぜなら古くは、寒色系は「アオ」と呼んでおり、草木の緑系の色も「アオ」と呼ばれていました。

f:id:kanamankun:20200413164233j:plain

 上池では・・

f:id:kanamankun:20200415164755j:plain

 路の途中に早野庵がありました。動植物の学習、研究や山菜料理などを楽しむことが出来る貴重な場所ですが、新型コロナの影響でしょうか、中止の看板が出ていました。

f:id:kanamankun:20200413153931j:plain

 庵には、陶芸窯(穴窯?)がありました。焼き物作りも出来るのでしょう。現在は使われていないようです。

f:id:kanamankun:20200414104706j:plain

「五郎池」では・・

f:id:kanamankun:20200415164913j:plain

 私が散策した周辺は、「かわさき多摩丘陵グリーン・コンソーシアム」に向けて、明治大学農学部川崎市が協力して生物多様性保全に向けた動植物の調査、研究を行っている地域です。

f:id:kanamankun:20200413154148j:plain

 この地区では、一般の方が農業をされている畑もあり、季節の花々が植えられていました。それにボランティア活動によって里山保全が維持されているようです。

f:id:kanamankun:20200415165125j:plain

 1時間ほどの散策でしたが、大きな団地の傍に、今も残っている里山風景。

 この里山の景観を荒廃させない、そしてそこに生息する動植物たちの衰退をなくすためにも、環境(里山)を守る大切さを改めて痛感しました。

    *     *

f:id:kanamankun:20200413162353j:plain

 梶の葉文白磁花入 高さ:17.4cm

    *

    *