1月31日 午後10時前後から
2015年4月以来、3年ぶりの「皆既月食」となりました。
皆既食中、月は地球の本影の中に完全に入ります。
しかし月は真っ暗になって見えなくなるのではなく、
「赤銅色」と呼ばれる赤黒い色に見えます。
それは地球の周りには大気があり、太陽光の青い光は
大気をほとんど通過できませんが、
赤い光は弱めながらも大気を通過できます。
朝日や夕陽が赤く見えるのと同じ理由です。
このかすかな赤い光が月面を照らし、月が赤黒く見えます。
「月」は、四季折々の自然の風物の中で、
日本人の風雅の心を形成してきましたが、
この皆既月食の理由が解明されていない時は、
赤い月の色が不吉な現象として人々の不安を煽り、
言い伝えや迷信を生んできました。
子規の句に「月赤し雨乞踊見に行かん」というのがあります。
また茨城県南部には
「将門や古河の月夜を赤く染め」という将門伝説があるそうです。
一茶の俳文集『おらが春』に「名月をとってくれろと泣く子かな」(文化10年)
という良く知られた句がありますが、
文化8年8月には、こんな句も詠んでいました。
赤い月是は誰のじや子ども達 一茶 (『七番日記』)
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