涼風至

 今年の夏は、40℃を超える所も多くあり、異常な暑さを感じます。横浜も猛暑日の連続です。その暑い中で、どこからともなく吹いてくる涼しい風は、心身を癒してくれます。

 暦の上では「立秋」が過ぎました。「涼風至(すずかぜいたる)」は、立秋の初侯にあたります。涼しい風が吹き始める頃ということですが、まだまだ暑さは続きそうです。

 この暑さの中、どう涼しさを求めるかについては、人それぞれのやり方、感じ方があるようです。

 インターネットのある調査を見ると「夏に涼しさを感じるものは何か?」との問いに、一番多かったのは「風鈴」でした。そのほか上位に入っているのは「川」「打ち水」「夕立」など、音や冷気を誘うものに「涼しさ」を感じるようです。10番目に「花火」が入っていましたが、やはり「水」に関係するものが多いようです。 

 古来からある風鈴は、音で風の存在を示して、涼しさを感じさせてくれるばかりではなく、その音には自然界にある癒しの音と同じ3000Hz以上の高周波音が含まれています。風鈴は単純な形状ですが、その音色には奥深いものがあるようです。

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 黒須田川の「羽黒蜻蛉」は、昨年に比べると多くいるように思います。

 川辺で戯れ飛翔する羽黒蜻蛉たちの動きは、せせらぎの音が加わり、散歩者には一服の清涼剤となります。

 今回は「視覚的な涼感」を楽しむために、水の流動と羽黒蜻蛉の動態をまとめてみました。

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 大の字に寝て涼しさよ淋しさよ

       一茶『七番日記』

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  涼しさや縁の際なる川手水

       一茶『文政句帖』

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 あら涼し涼しといふもひとり哉

        一茶『七番日記』

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 涼しさや半月うごく溜り水

        一茶『寛政句帖』

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 涼風に吹かれぢからもなかりけり

      一茶『化三~八写』

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 釣鐘の青いばかりも涼しさよ

       一茶『文政句帖』

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 涼しさに転ぶも上手とはやしけり

        一茶『七番日記』

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 羽黒蜻蛉は、他の蜻蛉のように素早くは飛びません。蝶のようにヒラヒラと舞うように飛びます。その舞いは、せせらぎのようにも思えます。

 このトンボは縄張り意識が強いようで、止まると羽を開いたり閉じたりします。その動きは、縄張り意識より、筋トレをやっているように見えます。

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 山水の清むが上をも水馬

        一茶『文政句帖』

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 涼風の曲りくねって来たりけり

       一茶『七番日記』

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 最後は、やっぱり氷菓子・・

 私の幼少の頃には、自転車に氷と書いた旗をつけて鈴を鳴らし、道路でアイスキャンデーを売っていたのを思い出します。暑さを吹っ飛ばしてくれる、その冷たさは忘れられません。今はお祭りなどで見られますが、日常生活の中では、もう見られなくなった夏の風物詩です。

  玉棒をまけて添へけり氷売

        一茶『文政句帖』

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