このトンボは、黒須田川の遊歩道で見つけました。
名前は「サナエトンボ」ではないだろうか?サナエトンボの種類の中の「ヤマサナエ」だろうか。
トンボといえば,、秋のイメージがありますが、春から飛ぶトンボも多くいます。
「サナエ(早苗)」という名前は、春の田植えの時期に羽化することから付いたようです。
早速、田圃が多く残されている横浜市北西部にある「寺家ふるさと村」に行ってきました。
「寺家ふるさと村」は、横浜市が昭和58~62年に、青葉区寺家町の良好な田圃景観を有する農業地帯を、地域農業の振興と自然環境を保全するために整備されました。
幾筋もの細く伸びた田圃と池や森があり、昔ながらの自然が残っている里山です。
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「ふるさと村」に行った時は、まだ本格的に田植えは始まっていませんでした。
水路から水が取り入れられ始め、田圃に流されていました。
田土がかき混ぜられて、土の中で眠っていた虫が現れ、その虫をムクドリが漁っていました。
ムクドリも、この時期をよく知っているのです。
近くの池からカルガモ夫婦も・・
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田圃で大切なのは、水が流れ出ないようにする畔づくり(防水)です
私の知っている畔作りは、鍬で壁を作るようにして、田土を土手(畔)に塗り付けます。この作業は労力と時間がかかります。
今はトタクタに畔作り用の機具を取り付け、簡単に畔を作っていました。こんな便利な機具があるとは知りませんでした。
昔は、この畔に枝豆を植えていました。今はどうしているのかな。
このふるさと村にも、美しい棚田があります。
この日は、田植えの農業体験が行われていました。親子が鍬や鋤を持ち、泥だらけになって苗代田作りをしていました。
我こねたのも苗代と成にけり
一茶『七番日記』
この棚田の奥に苗床がありました。
むらのない苗代とてもなかりけり
一茶『七番日記』
この周辺にサナエトンボが飛んでいないか?探したのですが、見つかりませんでした。見つけたのは「シオヤトンボ」・・
この粉を吹いたような青白い色をしたのはオスです。メスの体色とは色が違い、メスは黄色です。
この「シオヤトンボ(メス)」は、黒須田川の遊歩道で見つけました。
魁てうき草浮けり苗代田
一茶『西国紀行』
水が張られた田圃の中で止まっていたのは「シオカラトンボ」です。
「シオヤトンボ」と間違いやすいですが、尾の先が黒いのが「シオカラトンボ」です。
シオカラトンボのメスの体色も黄色です。ご存じの「ムギワラトンボ」と呼ばれています。
こんな睦み合っている光景も見られました。
田圃に水が入り苗が植え終わるのは、5月下旬頃になるのでしょう。
「寺家ふるさと村」の周辺は、住宅地に囲まれています。交通の便もよく、休日には多くの人たちが訪れています。
「神奈川県レッドリストのトンボ類」で、サナエトンボ科の一部のトンボは「絶滅危惧種」に指定されています。「ヤマサナエ」は「要注目種」に指定されています。
この昔ながらの里山の自然を守り、田植えが終わる頃には「サナエトンボ」が、ゆうゆうと飛び交っていて欲しいと思います。
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