先日、笠間市・奥田製陶所の登り窯の窯出しに行ってきました。
前日の真冬のような寒さから一転、暖かい日となりました。裏山の竹林にはタケノコが顔を出し、鶯の囀りが聴こえました。
3日間の焼成は、順調だったようです。最高温度は1350℃まで上がりました。
「胴木間」の内部
「捨て間」の内部
「1の間」の内部
「2の間」の内部
「3の間」の内部
一番気になるのが、自分の作品。それぞれの審美眼での評価に・・話は尽きません。
「灰被り」は、薪の焔と灰が創る「表情」や「景色」で、その緋色とガラス化された灰の流れは、人智では及ばない表現の世界です。しかし作品意図と経験によって薪の種類、焔の流れ、灰の被り方などを考慮して置かれます。
私の作品は、すべて「灰被り」で焼成しました。
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盆の灰いろは書く子の夜寒哉
一茶『八番日記』
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『灰の文化誌』小泉武夫著(Libro発行・1984年12月刊)には、灰について食生活、社会、風俗、宗教、芸術、自然界などにわたって興味のある話題が紹介されています。
「文学と灰」の章では、世界の各国の灰にまつわる、お伽噺や童話が紹介されています。
日本では古くから「灰」について、いろいろと語られて来ています。童話の世界では『花咲爺さん』が良く知られています。また海外ではグリム童話『シンデレラ物語』です。
「シンデレラ」は、キラキラ輝いた美しいお姫様となったイメージがありますが、シンデレラという名前は、家事や暖炉の掃除で灰まみれになっている姿を見て、意地悪な継母からつけられた「あだ名」です。シンデレラの本名は「エラ」と言います。つまりcinders(灰)とElla(エラ)とをつなげて「cinderella」と呼んだのです。
「シンデレラ」は「灰にまみれになったエラ」となりますが、子供たちの世界では、美しいお姫様の名前であって欲しいと思います。
日本にも、この『シンデレラ物語』の話に似た、風呂焚き男を主人公とする『灰坊太郎』という昔噺があるそうです。
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私のシンデレラ?
灰を被った花入れは、こんな灰を被っていました。
焼締瓢形耳付花入 高さ:26.0cm
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