絵手本

 先日、『北斎ジャポニズム』展を観に行きました。
葛飾北斎の作品約110点とその影響を受けた西洋の芸術家の作品が
約220点紹介されていました。
 木版絵本『北斎漫画』をヨーロッパに最初に紹介したのは、
ドイツ人医師シーボルトと言われていますが、
その与えた影響の大きさには驚きました。

北斎漫画』とは、通常の漫画というよりも「漫然と描いた略画」という感じです。
絵を描く人のための絵手本のような本です。
 初編の発行は、文化11年(1814年)で、最終の「15編」が出たのは、
北斎の死後です。
 この「15編」には、自然、人事、歴史、生活、宗教など森羅万象を描き、
収められている総図数は、約四千図に及んでいます。

 この簡素な筆づかいによる略画ですが、北斎の線描を活かす彫師の技術力にも
驚きました。
 彫師の腕次第では、絵師の絵を活かしたり、殺したりすることがあります。
 北斎好みの彫師がいたとも言われています。


 北斎(1760-1849)と一茶(1763-1828)は、同時代ですが、出会いは・・?。
長野県小布施にある「岩松院」には、北斎の天井絵「八方睨み鳳凰図」
境内には、一茶の句碑「やせ蛙まけるな一茶ここにあり」があります。


   古盆の灰で手習ふ寒さ哉   一茶   (『七番日記』)



 展示品の中で、陶器が約三分の一紹介されていました。
私の陶芸の作風とは異なりますが、参考になりました。

 陶芸では、名品等を模倣することを「写し(〇〇手)」と呼ばれています。
私も、これまで多くの名品を手本として制作して来ました。
 しかし実物を見ることは出来ず、ほとんどが写真等を手本にしています。
そしてやきものは、立体的であり、重さ、厚みなどが分からず苦労します。
 また、大きな問題は、炎の洗礼を受けることです。




  高さ:22.1cm
    
      高さ:27.8cm

 伊賀焼・筒花生の『生爪』と『羅生門』の写しです。