器の転用

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 東京都中央区立郷土天文館(タイムドーム明石)の『お酒と遺跡』展に行って来ました。

 中央区で出土した遺物を、「いれる・運ぶ」「温める」「つぐ」「呑む」「転用された酒器」の5つの項目に分けて展示されていました。

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 焼き物の転用は、縄文時代から行われており、どこまでが本来の使われ方か、どこからかが転用なのか、古い時代の遺物は判別が難しいそうです。

 今回、展示されているのは、日常よく使われる酒器の転用ですので、本来の目的以外の使われ方をしているのが良くわかります。

 江戸人の「物への愛着」か「リユース」か。本来の目的以上の使われ方がされていたり、その精神は見習いたいものです。

 焼き物には「転用」と云うよりも「汎用性」がある用具ではないでしょうか。

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 焼き物は「器」という言葉を使います。この器の文字には、口の字が4つあります。この口は祭器を表していますが、いろいろな容器を示す意味もあるようで、酒器も、いろいろな使い方ができるマルチな日常の生活用具の一つです。

 多くの人は「徳利」を「花入れ」として、一度は使ったことがあるのではないでしょうか。

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 今は、湯呑や茶碗、丼などを鉢に転用した「転用鉢」として、多肉植物などに使われています。 

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  今回の展示では、胎衣を入れた器(皿)の隣に酒器(徳利)が置かれていたことを知りました。生の神秘と清めの意味があるのでしょうか。

 以前、縄文遺跡を訪ねた時、入口に 胞衣壷が置かれていたことは知っていましたが、皿に納めてあるのを見るのも初めてです。

(注)胞衣壷とは、生れた子供が健やかに成長するように祈り、胞衣(胎盤)を納めた容器。

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霜の夜や

   人待顔の

      素湯土瓶 一茶

          (『享和句帖』)

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 私は、転用されることを意識していませんが、「徳利」は「花入れ」より軽く作るようにしています。

 1月29日に紹介した織部の茶碗は植木鉢に転用したものです 。

 次の一輪挿しは、素焼きの後に破損した徳利に、小さな一輪挿しを組み合わせてみました。

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