テラコッタ

 先日、「神奈川いまむかしガイドの会」主催の、
「神奈川歴史散歩」に行って来ました。
 行先は、横浜市中区・関内の西洋建築を巡り、
文化とその様式美を探る歴史散歩です。

 関内には、昭和初期に建てられた古典様式の銀行、教会、歴史建造物が
たくさんあり、ほとんどが重要文化財横浜市認定歴史的建造物、
指定有形文化財となっています。
 半日で11カ所の建物を訪ねました。

 私は建物については、詳しい知識は乏しいですが、
特に気になったのが、外観は、ほぼ正方形で
正面の3階部分まで7本の柱を通した
横浜銀行協会(旧横浜銀行集会所)」の建物です。

 この建物は、昭和11年竣工されました。
直線と水平性を強調した力強いデザインが特徴で、
その細部には、美しい絵柄のテラコッタが装飾されています。

 
      
 
         
 
      

 「テラコッタ」とは、イタリア語で「 焼いた(cotta) 土(terra)」
という意味です。「素焼き」とも呼ばれます。
 素焼きとテラコッタとは、厳密には違いますが、実質は同じようなものです。

 日本人ならば「素焼き」といえば「埴輪」「土偶」などを
思い浮かべるでしょう。
 縄文時代以前からある焼き物の一つです。

 身近なものでは、朱味を帯びた「駄温鉢」です。
「駄温鉢」は、素焼鉢より高温で焼成されています。
通気、排水性は、素焼鉢よりやや劣りますが、丈夫なのが特徴です。

 現在、植木鉢は、プラスティク鉢、陶器鉢(素焼鉢・テラコッタ)、
半磁器鉢、木製鉢など素材の違う鉢があります。
 そして色や形、大きさなど種類も多く、草花や木の種類によって
鉢の特徴を活かして使い分けが出来るようです。

    *

 植木鉢の登場は、江戸時代中期頃といわれています。
植木鉢の普及で「園芸文化」が花開き、武士や貴族だけでなく、
庶民の楽しみの一つとなったようです。
 その様子は 浮世絵などにも当時の園芸文化が表現されています。
歌川芳豊の「新版 植木尽」(子供向けの図鑑だそうです)には、
多くの植木鉢が描かれています。その種類と絵柄の豊富さに驚きです。


 小林一茶も園芸の趣味があり、接木・挿木などについて
多くの句を詠んでいます。


   たのみなきおれがさしてもつく木哉   (『八番日記』)

   菊植て孫に書する木札かな        (『文政句帖』)

   
   
   織部風の駄温鉢(1200℃で焼成



多肉植物用のモスポット(無釉で1200℃で焼成



素焼きのコーヒーソーサー(800℃で焼成

                 
 追伸・・・

 先日、見つけられなかったシダーローズを見つけました。


 シダーローズとは、バラの花に似たヒマラヤスギの松ぼっくりです。
 シダー(ceder)は、日本では「杉(ヒマラヤスギ属)」
 と翻訳されることがあります。