この「いげ皿」は、二十数年前、東北を旅行した時に小さな美術館で購入したものです。
「いげ皿」は明治の終わりから昭和の初めに大量に作られた大衆向きの厚手の皿です。
「いげ」とは佐賀県の方言でトゲのことを「いげ」と言い、
皿の縁のギザギザから「いげ皿」と呼ばれています。
皿の縁には鉄釉が掛けられ、中の絵柄は印判の染付がほとんどです。
絵柄の麦穂は、秋の実りの季節を待たずに先に収穫の時期を迎えることから
「他に先んずる」として縁起物とされています。
麦と言えば、麦踏が冬の風物でしたが、今では、ほとんど見かけなくなりました。
俳句では絶滅寸前の季語となりつつあるようです。
出ばやな籬の野邊の麦踏に ( 白雄 ) (『白雄句集』)