暖かくなると、黒須田川には、いろいろな鳥たちがやってきます。
鷺烏雀が水もぬるみけり
一茶『発句題叢』
(注)「鷺と烏」は「烏と鷺(うろ)」で、白鷺のことです。
先日、 「コサギ」と「カワウ」の中に「アオサギ(青鷺)」を見ました。
アオサギは、本州にも生息する留鳥です。関東地方では繁殖が増加傾向にあるそうで、黒須田川で見たのは初めてです。
「アオサギ」は、日本で見られるサギの中で一番大きく、全長約90cmあります。
翼を広げると160cmを超えます。飛翔する姿は、大変迫力がありました。
英名ではグレーヘロン(灰色のサギ)ですが、日本語では「青(アオ)」という字を使います。私は、青より灰色がかった蒼のように感じます。
「蒼鷺」と表現したいと思います。
主食は魚ですが、何でも食べるそうです。
今、捕らえたのはザリガニかな?
古代エジプトでは、アオサギは「ベヌウ」という聖なる鳥、神様として扱われました。そしてギリシャ時代なると「フェニックス(不死鳥)」という伝説の鳥になります。
日本では『万葉集』に、鷺を詠んだ歌が一首ありました。
「池神の力士舞かも白鷺の桙啄ひ持ち手飛び渡るらむ(万葉集3831)」
『枕草子』では「鷺は いとみめも見ぐるし まなこえなども・・」と詠まれ、鷺のイメージはよくなかったようです。その後も、怪しい、不気味な存在として扱われています。江戸時代になると「妖怪」の扱いになってしまいます。
しかし俳句や短歌では、そうではないようです。
突然、黒須田川に飛翔してきたアオサギは、餌を漁っていた時間は短かく、どこかに飛んで行ってしまいました。都会の川で餌を漁る・・自然環境の変化によるものでしょうか。
アオサギが去ると、いつもの鳥たちの世界に戻りました。この川には、大きな鳥は似合わないようです。
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梶の白磁耳付花入
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