フィルター(透彫)

 先日、横浜ユーラシア文化館で開かれている『エジプトのイスラーム都市を掘る』展を見ました。
 特に感動をしたのは、日常生活に使われていた飲料水用の小壷に施された美しい意匠のフィルター(透彫)です。そして展示されているフィルターの紋様(イスラーム紋様)の種類の多さと高度な技術で精巧に作られているのに驚きました。
 この「フィルター」とは、小壷の上部の内側に薄い仕切り面を作り、その面に美しい透かし彫りをしたものです。その中の水を飲む時には、この透かし彫りが見えるのです。
 日常生活で使用される雑器に高度な技術で洗練された美しい意匠を、しかも見えない部分に施すなど、当時の人々の暮らしの中の美意識の高さを感じました。 

 展示会の冊子の中のフィルターの一部を紹介すると

「エジプトのイスラーム時代の遺跡」(早稲田大学イスラーム地域研究機構)の冊子より引用

 日本でも透かし彫りは香炉、ランプシェード、二重壷、アロマポット、鉢など多くありますが、素焼きで作られた透かし彫りの日常雑器はほとんど見かけません。
 身近で使う急須には陶製茶漉しはありますが、丸い穴が主で特に凝った意匠のものはありません。


  高さ:8.7cm