構造色

 昨日、京王百貨店新宿店で開かれている『瀬戸毅巳作陶展』に行ってきました。

 瀬戸毅巳先生には、今年の夏、横浜美術館のワークショップで「抹茶茶碗作り」を、ご指導して頂きました。

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 作陶展には「曜変天目」「志野」の作品が展示されていました。

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 「曜変天目」は、宇宙を思わせるような神秘的な美しさを讃えた焼き物です。

 「曜変」は、もともと「窯変」で、窯で焼成される時に何らかの変化で斑紋が生じます。またそれは「星のように輝いてみえる」ことから「耀」の字が用いられることがあります。

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 「曜変天目」は 中国・宋時代に建窯で焼かれてた建盞の一つで、日本には室町時代にもたらされました。

  日本には曜変天目の茶碗は3点あり、すべて国宝になっています。

 その曜変の再現に取り組まれている日本人の数は少ない中で、瀬戸先生はその一人です。

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 この写真は瀬戸先生の作陶展案内はがきの

 曜変天目の写真を拡大して複写させていただきました。

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  曜変とは、光を当てるといろいろな色に変わります。この青く見える部分は釉薬の固有色ではなく「構造色」と考えられています。

 構造色とは、光の回折、屈折、干渉、散乱によって生じて見える色を言います。

 「曜変」の光彩のメカニズムは、黒釉の薄膜での光の干渉によって現れます。

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 星様のささやき給ふけしき哉

         一茶『句稿消息』

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 構造色は焼き物だけでなく、自然界にも輝くような色をもつ生物が沢山います。

 先日、紹介した翡翠の色もその一つです。ほかにモルフォチョウ、クジャクの羽、ハチドリ、鳩の首回り・・さらに熱帯魚、貝殻、植物の種子など、身近な生活のなかで見ることができます。

 またシャボン玉やコンパクトディスクなども構造色です。 

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 「曜変天目」は、窯内で偶然に美しい結晶が生まれる化学の世界でもあります。そのため謎の部分も多いようです。

 瀬戸先生の案内はがきにも「チャレンジ」という言葉が書かれてありましたが、まだま研究すべきことは多いと話されていました。更に瀬戸先生独自の「曜変の世界」に挑まれているのでしょう。

 次回の作陶展を楽しみにしています。

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