繕い

 
   

  『梢まで来て居る秋の暑さかな』という
  江戸時代の俳人支考(1665-1731)の俳句がありますが、
 秋は近くに感じながらも、相変わらずの暑い日が続いています。

  一茶も58歳(文政3年)の時に、こんな句を詠んでいました。

   老の身は暑のへるも苦労哉   (『だん袋』)
          (注)『だん袋』は、一茶が自ら推敲選句した自筆の句集です

     *
     *

 昨日、厳しい暑さの中、JR鎌倉駅から7分の所にある
「鎌倉歴史文化交流館」に行って来ました。

 この博物館は、鎌倉の歴史と文化遺産を学び、体験できる鎌倉市立の展示施設で、
平成29年5月5日に開館されました。
 開館にあたっては、イギリスの著名な建築家によって
個人の既存建築を活用しながら、自然的景観と建物が調和するように
改修工事が行われたそうです。

 
    

 展示室から3つ並んだアーチ状の横穴と「やぐら」が見えます。
「やぐら」とは横穴式の埋葬施設です。
 この風景は 鎌倉の谷戸に見られる特徴の一つです。
      

 別館の考古展示室では
企画展『発掘!かまくら探偵団』が開催されていました。

 鎌倉市内で出土した渥美、常滑、瀬戸、備前などの焼き物が
55点ほど展示されていました。

 その中で興味を惹いたのは『瀬戸焼灰釉底卸目皿』です。

    高台の底が卸目になっています。
    

 市内で出土した青磁の皿ですが、黒漆で繕っています。
漆で繕った卸目皿を見るのは初めてです。
 稚拙な繕いですが、きっと大切な皿だったのでしょう。

 往時、この卸目皿で何を卸していたのだろうか? 

 
     *
     *
     *

 酒盃の欠けた部分の金繕いです。

   呂色漆(黒漆)
   

       弁柄漆
       

   金消粉 
   



                  *
                  *
                  *
                  *
                  *