古本まつり


 先日、神田の「古本まつり」に行きました。第57回目を迎え、歴史のある古本まつりです。
 専大前交差点から駿河台下まで約500mにわたり、古書店と露店の書棚が並び貴重な古書から新刊本までが山積みされています。

 倒れかかった古書の下から見つけた本は、楢崎鐡香著「井戸茶碗」 ( 全国書房版・昭和22年発行・定価90円 )です。
 井戸茶碗については、いろいろと約束ごとがあり、その一つ「轆轤目が立っていること」が挙げられます。私は、日頃から、この轆轤目の数について気になっていました。この本では、轆轤目の数について、甚だ穿ち過ぎた一説として書かれています。この説を知って、私の疑問が解消されたように思います。
 少し長くなりますが引用させていただくと
『・・・・拇指を軽く茶碗の縁にかけ、両の掌のうちに茶碗の胴がピッタリとはまり、如何にも茶碗を抱へたと云ふ安定感を深からしめる。茶碗の四段の節は、単に形態の上からばかりではなく、形以上の触感を予め留意して実際の形に作られたというのである。』  そして 『・・・・ただ我国の茶人として名誉とすることはこの実用価値の発見である』 ( 頁70〜71「井戸茶碗の形状」から )