花虻

 晴雨に関係なく、ほぼ毎日、黒須田川の遊歩道を歩いています。この時期は、季節の移り変わりがよく分かります。

 桜の花の色から大根の花の紫色、菜の花の黄色へと・・川辺の色の変化は散歩を愉しくさせてくれます。

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 特に黄色の花は、鳥や虫を惹き付ける色です。

 レンギョウの花にヒヨドリが・・花蜜を美味しそうに吸っていました。

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 水面を飛び回わる黄鶺鴒の黄色が美しく輝いています。

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 そして段々と若葉の色に移っていきます。

 雨後の若葉色は、より鮮やかに見えます。

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 黄色い草花の代表である身近でポピュラーなタンポポ

 明治初期にヨーロッパから入って来ました。今は食べる人はいないでしょうが、昔は食べていたそうです。

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 タンポポは、大きく分けると「日本タンポポ(在来種)」と「西洋タンポポ外来種」に分けられます。このタンポポはどちらの種類か、見た目だけでは分かりません。

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 その違いは、花を裏側から見て外総苞片が直立しているのが「日本タンポポ(右側)」反り返っているのが「西洋タンポポ(左側)」です。

 他に大きな違いがあります。日本タンポポは、自分以外の株の花粉を受粉しないと種ができませんが、西洋タンポポは、自分だけで種を作り出し増えますので受粉は不要です。そのために在来種は群生しますが、西洋タンポポは単独で生えています。

 昨今、西洋タンポポが在来種を脅かして増えており、日本タンポポを見つけるのに苦労します。また西洋タンポポは、春から晩秋まで咲いていますので、タンポポの季節感が薄らいで来ています。

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 日本タンポポの受粉を手伝っているのが、虻や蜂たちです。しかし虫たちにとっては、在来種か西洋種かの違いは関係ないようです。

 「花虻」とは、花に集まる虻の総称で、ハナアブ科の昆虫が多く、ハエやブヨの仲間です。

 虻おふな花を尋て来たものを

      一茶『文政句帖』

 山虻や人待つてとび待つてとび

       一茶『文政句帖』

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 「虻」と「蜂」は見た目がよく似ていますので、虻だと思って近寄ると蜂だったりします。虻と蜂を見分けるのは、虻の体はくびれがなく蝿に似ています。蜂は頭と胸、お尻の部分がくびれっています。また虻は2枚羽、蜂は2対4枚羽です。

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 子もち蜂あくせく蜜をかせぐ也

          一茶『八番日記』

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 むまい菜はまんまと蜂に住れけり

          一茶『句稿消息』

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