小紫の実

 先日、富士山の初冠雪の映像が紹介されました。昨年より24日早い冠雪だということです。

 富士山の美しい雪景色は、あの猛暑の夏が終わったことを知らせてくれているようです。

 家の近くのふるさと公園では「王禅寺柿」が色づき、秋の香りがして来ました。

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 雀たちは、柿よりおしゃべりのようです。密?にならないように・・

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 黒須田川では・・芒が主役となってきました。

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 しかし、その芒の傍には、美しい紫色の可愛い実を、たわわに実らせている木があります。

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  こんな川底に、どうして生えたのだろうか。

 植えられたとは思ません。庭木が流されて・・

 黒須田川は、大雨が降ると水嵩が増えます。木が成長する前に、すぐに流されてしまいます。草木の根っこにでも絡みついたのだろうか。 

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 また、こんなところにも生えていました。

 根っこは、コンクリートブロックの間から・・

 その強い生命力には驚きました。

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 この木の枝に美しい果実を実らせているのは「コムラサキ(小紫)」の実です。

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 「「コムラサキ(小紫)」は、ムラサキシキブ属の落葉低木で、別名「小式部」とも呼ばれ、庭木として広く普及しています。

 名前の由来は、ムラサキシキブ(植物)を小さくしたような植物なので、この名が付いたようです。

 「小紫」は、もともと「濃紫」と書きますが、色合いが小紫の実に似ていることから「小紫」といい、それが定着してきたと思われます。

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 「小紫」は「ムラサキシキブ紫式部)」と、よく混同されやすいですが、厳密には別種です。大きな違いは、ムラサキシキブは実の付き方がまばらで、コムラサキは実がまとまって沢山つきます。

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 3~4mmほどの大きさで、紫色の真珠のような輝きをした小紫の実。

 最初は緑色で、少しずつ紫色に変わって来ます。

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 黒須田川の小紫は、川底で咲いているので、遊歩道からしか眺められないのは残念です。

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 この実は食べることはできるそうですが、美味しくはないそうです。

 野鳥たちは好んで食べるそうです。

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 羽黒トンボには、この実はどんな色に見えるのだろうか。ただの美しい止まり木(実)かな・・

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 蝶の仲間に「小紫」という名の蝶がいるそうです。私はまだ見ていませんが、その蝶の雄は、翅の表に紫色の幻光が浮かび出るそうです。

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 伝統的な色名にも「小紫」があります。この小紫の実のような渋い紫色を言います。

「紫色」と言えば、昔、放送局で働いている時、テレビカラー放送の当初は「紫色」の再現が一番難しかった色であることを思い出します。出演者の着ていた服とテレビ画面で再現された色が違い、少しでも近づけるための苦労がありました。紫色は、日本では高貴な色とされて来ただけに神経を使いました。

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  赤い実も少加味して散木葉
          一茶『自筆本』

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