コロナ禍で「釣り堀」に行く人が増えたそうです。
「小鮒釣りし・・」という懐かしい唱歌がありますが、私の小さい頃には、近くの川でハヤを釣った思い出があります。
釣った魚はバケツに入れて飼っていたこともあります。
手盥に魚遊ばせて更衣
一茶『七番日記』
こんな風景は、今でも見られるのではないでしょうか。また、他の動物と絡ませた、こんな面白い句もありました。
春雨や魚追い迯す浦の犬
『七番日記』
猫の目や氷の下に狂ふ魚
『文政句帖』
魚の動きより、犬と猫が、どんな表情をしているのか、想像するだけでも楽しい句です。
(注)「ハヤ」は、コイ科の淡水魚のうち、中型で細長い体型をもつ魚の総称です。地方によっては「ハエ」「ハヨ」とも呼ばれています。
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黒須田川の上流では、小魚が生息する木陰や草の茂みなどがたくさんあります。散歩しながら、その魚たちが、波紋を作って元気に泳ぎ回っているのを見るのは嬉しいものです。
釣り人も訪れることもなく、カワセミ、シラサギやアオサギなどのよい餌場となっています。
水量が少なく、透明度がある時は、若魚たちの泳ぐ姿がよく見えます。
その中で美しい魚がいました。胸びれ、腹びれに特徴のある「ヌマムツ」のようです。
緩やかな流れの場所に群がり、水質の汚染にも強い魚です。
強い日差しを受けて色が鮮やかです。
背びれの青色・・胸びれや腹びれの赤味を帯びた色・・川底から2~3m離れた遊歩道から眺めても、本当に美しい色に見えます。
「ヌマムツ(沼鯥)」は、コイ科に分類される淡水魚です。全長は20cmほどです。
外見は「カワムツ」によく似ています。以前は「カワムツA型」と呼ばれていましたが、2003年から新和名「ヌマムツ」と呼んでいます。その違いは、鱗が細かく、胸びれ、腹びれの前縁が赤いことが、カワムツとの違いだそうです。
浅瀬を優雅に泳ぐ姿は美しい。
この魚は、食べてもそれほど美味しくはないそうです。
魚の姿は上からしか見えませんが、雄は産卵期になると婚姻色に染まります。
(注)婚姻色とは、繁殖期になると雄の全身や腹面の体色が変化することを言います。
この魚は、川で釣る楽しみより、泳いでいる姿、水中での色の変化などを楽しみたいです。
黒須田川には、いろいろな生物が生息していますが、最近は汚れが目立ちます。
この美しい魚たちが、生息しやすい環境を維持していきたいものです。
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