「立冬」を過ぎると太陽の光の強さも弱まりつつありますが、光を受けた紅葉は大変美しく見えます。
葉が色づくことを紅葉といいますが、厳密に色の変わり方で言い方も変わるようです。主にモミジなどが赤色に変化するのが「紅葉」、ブナなどが褐色に変化するのが「褐葉」、そしてイチョウなどが黄色に変化するのが「黄葉」と言います。
葉が色づく中でもイチョウは、毎年同じ黄色一色となりますので、モミジなどの紅葉とは違った美しさがあります。
イチョウの「黄葉」の仕組みについては、寒くなると栄養分が供給されなくなり、葉にある葉緑素が分解されカロチノイド(動植物に存在する黄色の色素成分で、強い抗酸化作用を持つ)が残って黄色くなります。
一方「紅葉」は、寒くなると栄養分が供給されなくなると離層(葉が落ちる前に葉柄に生じる特殊な細胞層)という壁ができて、残った糖類(葉脈は糖分が主成分)が紫外線を浴びて赤くなります。
黄色になるイチョウの「黄葉」とは仕組みが違い、紅葉は気候の温暖差などによって色に変化が出てくるのでしょう。
いつもの散歩道の黒須田川に映る黄葉です。
水鳥の紅葉かぶって寝たりけり
一茶『七番日記』
イチョウの葉の形をよく見ると、葉に切れ込みがあるものとないものがあります。
普通、見かけるのは「扇型」になっています。他に「ズボン型」「手のひら型」があります。
ズボン型(切れ込みが葉の真中に入っているもの)
手のひら型(切れ込みが複数入っているもの)
なぜ切れ込みが出来るのか?調べてみると、よく分からないところはあるようですが「剪定後は葉が大きくなり、大きな葉は風の抵抗を受けるので、その風の抵抗を減らすために切れ込みができるらしい?」
私が採集した葉を調べると、切れ込みが複数の葉は、切れ込みのない葉より大きな葉でした。 また切り株からの新しい葉は、ほとんど複数の切れ込みがありました。
剪定などした木には切れ目が複数でき、だんだん古い木になると扇型になってくるようです。
もう一つイチョウの葉の特徴を知りました。それはイチョウの葉には「シキミ酸」という虫が嫌いな成分が含まれているそうです。
江戸時代からイチョウの葉は、紙魚よけになるという伝えがあり、和本や和紙の防虫対策に使われていたようで、古い本などには、時々挟まれているそうです。
先日、古書市で購入した『一茶七部集』(勝峯晋風編・大正14年10月・東京古今書院刊)です。
『七部集』としては芭蕉や蕪村が有名ですが、この本の内容は「菫集」「木槿集」「三韓人」「迹祭」「杖の竹」「おらが春」「種卸し」の七部から構成されています。
今はまだ虫食いの状態ではありませんが、どのくらいの効果があるか、本に挟んで置きたいと思います。
『おらが春』の中の挿絵です。
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黄瀬戸四方小皿
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