特別行為税

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 この古茶けた色になった『一茶の研究』(藤本實也著・青葉書房刊)は、昭和18年6月に発行された本です。

 奥付には「特別行為税相当額」という文字が印刷されていました。

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 本の奥付は、本の履歴書のようなもので、奥付の歴史は古く、享保7年まで遡ります。そして昭和24年には廃止されましたが、この慣習が今も残っているのです。

 外国の本には見られない、日本独自のものです。

  この「特別行為税」とは、戦局が悪化し始めた、昭和18年から21年まで、消費の節約、購買力の吸収などを目的として①写真撮影・現像②理容③印刷・製本④衣服の仕立て⑤書画の表装⑥織物・被服の染色・刺繍に、費用額の2~3割を課税しました。

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  また、昭和27年に発行された『偉人伝文庫 一茶』(横山青娥著・ポプラ社には「地方売価」と書かれていました。

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 この地方売価表示は、地方への輸送費などの経費を加算したもので、昭和34年に廃止されています。

 本の価格には、時代の特徴が反映されているようです。

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 江戸時代、紙は貴重品のため使った紙を集め、漉き直して使用するなどリサイクルされていました。

 一茶も過去帳や暦の裏などに書いたり、白紙の場合は、僅かな余白にまで書き込みをして、紙を大切に使っています。

 わんぱくや先掌に筆はじめ 

          一茶(『八番日記』

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筆立て 高さ:11・2cm

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