コサギ

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 黒須田川を、気持ちよく飛んでいる小鷺。

山口誓子に、こんな句があります。

 美しき距離

     白鷺が

       蝶に見ゆ(昭和36年作)

 (『青銅』山口誓子集・朝日文庫・昭和59年4月刊)より

 

 白い蝶が飛んでいるように見えます。

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「鷺」は、日本に19種生息しています。

その中の「コサギ」は、留鳥で全長約61cmほどです。そして季節(夏と冬)によって少し変わります。

 黒い嘴は変わりませんが、夏は冠羽があり、目の先が赤くなります。

冬は冠羽がなくなり、目の先の赤みもなくなります。

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 頭の後ろに2本の「冠羽」が見えます。

まだ夏の姿が残っているのでしょうか。

「冠羽」とは、頭の周囲より長い羽毛をいいます。

その役目は上下させて仲間とのコミュニケーションするほか、敵に対して威嚇したり、防御の手段として使われます。

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 川面の風を受けて毛が逆立っています。

「足の指の黄色い」のも、コサギの特徴で、他の鷺では見られません。

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 目の先の赤味はなくなっています。冬のコサギの姿です。

川の中の獲物を狙う鋭い目・・。

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 色どりが少ない冬の川面には、この白さが耀き、美しい!

 この白さは、冷たさというより、柔かさと温もりを感じさせてくれます。

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 一茶は、白い色を見ると「ぞっとする」という句を詠んでいます。

しなのじや

   そばの白さも

       ぞっとする(『七番日記』)

 一茶は、蕎麦の白い花を見ると、雪の多い故郷を思い出すからだという。

 でも、この美しい鷺の白さを、どう感じたのだろうか。

 白鷺ではありませんが、鷺を詠んだ句では

 青鷺を連にもせぬか羽抜鳥

             (『文政句帖』)

 この句の季語は「羽抜鳥」でしょうか。

 また、こんな句もありました。

 鷺烏雀が水もぬるみけり

            (『発句題叢』文政3年)

 この句の季語は「水温む」です。

  烏と鷺と言えば、「烏鷺(うろ)の争い」という故事があり、室町時代御伽草子の「鴉鷺物語」は良く知られています。

 また白と黒ということで「烏鷺の戦い」は「囲碁を打つ」ことを意味しています。

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白磁瓶 高さ:19.2cm

 これまで、ほとんど白いやきものを制作して来ませんでした。

この白磁の瓶は、昨年12月に制作した作品です。

 素地は、半磁器に信楽の粘土を少しブレンドして、やや温かみのある白に挑戦しました。

  白色は、色の種類の一つですが、無彩色のために「形」が大事です。 

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