先日、横浜ユーラシア文化館で開かれている
『博士が愛した中国陶磁~美と技の5000年~』展を観て来ました。
博士とは「會津八一(書家・歌人)」と「江上波夫(東洋史学者・考古学者)」で、
二人が蒐集した陶磁器が紹介されていました。
その中で、特に惹きつけられたのが、14世紀・中国の磁州窯で焼かれた「白地鉄絵龍鳳文四耳瓶」です。口周りの「笹耳」。そして細い引っ掻き線が、粗野ですが躍動感を感じさせてくれます。
『横浜ユーラシア文化館ニュース・No30』より転載させていただきました。
併せて「記念講演会」も聴いてきました。
テーマは「東部ユーラシアの中の日本~文物の交流にみる~」です。
講師は、李成市(早稲田大学教授)と鈴木靖民(横浜市歴史博物館館長)氏です。
平城京の人々が海外文物(主に新羅)と、どう交流し、どんな文物が入ってきたのか、資料を交えての詳細な説明があり、よく分かりました。
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會津八一博士は、美術史家でもあり、川喜田半泥子とも書簡でやり取りをするなど、やきものについての造詣が深く、昭和14年10月、奈良見学旅行で赤膚山の正柏が窯に立ちより、4首詠んでいます。
総ひらがなの万葉調で書かれている歌集の中から
(歌集『鹿鳴集・観仏三昧(二十八首)』)より
もの かきし
すやき の をざら
くれなゐ の
かま の ほむら に
たきて はやみむ
(物書きし素焼きの小皿くれなゐの窯の炎に焚きてはや見む)
博士は、書画を入れた茶器を制作したようで、焼き上がりを待つ心情がよく伝わってきます。
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梶の葉文象嵌瓶 高さ:22.5cm
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