夏から秋にかけて道路や公園の草地などで
良く見かける雑草の一つに「エノコログサ」があります。
「猫じゃらし」と言った方がいいのかも知れません。
また穂の見かけそのままで「ケムシグサ」という名もあります。
名前の由来は、花穂が犬の尾に似ているところから「犬っころくさ」と呼ばれ
それが転じて「エノコログサ」となったそうです。
上の写真は「アキノエノコログサ」と言い、花穂が緑色をして、垂れているのが特徴です。
エノコログサには、いろいろな種類があり、穂の剛毛が紫色の「ムラサキエノコロ」や
金色の剛毛の「キンエノコロ」などは、道端でよく見かけます。
現在は、「エノコログサ」は、一般的に食用とされていませんが、
このエノコログサを原種とする「粟」は、縄文時代から人間にとって
重要な穀物の一つでした。
「粟」を使った故事、諺には「滄海の一粟」「粟一粒に汗一粒」「肌に粟を生ず」
「濡れ手で粟」などありますが、焼き物の絵柄にも、粟は描かれてきました。
柿右衛門様式の色絵「松竹粟鶉文(江戸時代)」の皿は有名ですし、
明治の印判の染付にも粟が描かれています。
特に、日本民芸館で観た、頭(花穂)を垂れた大きな粟が
一つだけ描かれている「志野鉄絵粟文平鉢(桃山時代)」はインパクトがあります。
粟餅ももように並ぶ莚哉 一茶 (『文政句帖』文政八年)